臨界巾を持つ半線形放物形方程式の初期値-境界値問題を扱いその減衰も有限時間爆発もしない時間大域解のエネルギーの挙動を考察し、新たなる知見を得た。すなわち、時間無限大においてある基底値レベルの自然数倍としてそのエネルギーレベルが実現されるという結果である。この研究のその後の展開としては、これらの研究と類似の結果が、全空間における臨界巾を持つ半線形放物形方程式の初期値問題にたいしても成り立つか否かを明らかにすることであるが、まだプレプリントの段階ではあるがある程度の結果を得るに至っている。 次に、摩擦項を持つ線形波動方程式の外部領域における混合問題についての研究においては、その解のエネルギーの時間に関する減衰率を、それまでよく知られていたものよりもより高い減衰率を得ることに成功した。しかも、局所エネルギーの減衰というそれまでのベストな結果と異なり、非常にシンプルなアイデアとそれまでよく知られている不等式を組み合わせて、初期値に対するより緩い条件のもと、全エネルギーのより速い減衰という、シャープな結果を得たわけでありこの分野における基礎的で画期的な研究結果と言えるであろう。というのも、今後この分野においては、今回得られた減衰率がエネルギーに関するすべての始まりとなるからである。これらに関する3本の論文は、現在投稿中である。更に、ここで得られた結果は、実は消散型半線形波動方程式の外部問題にも有効であることが最近分かり、発展的に今後の研究へと繋げることが出来た。
|