研究概要 |
本研究では、アトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスを用い、A.アトピー性皮膚炎発症に関与する分子群の検索、及び B.ノックアウトNCマウスの作製とそれを用いた病態制御機構の解析、を平行して推進することにより、同疾患の病態進行に関わる分子機構を明確にすることを目標としている。 皮膚炎発症マウスと非発症マウス間でのsubtractionによる病態関連遺伝子のクローニングを試みた結果、発現誘導分子群として抗体遺伝子群が得られ、クラス特異性をを伴わない高ガンマグロブリン血症を分子レベルで裏付ける結果となった。免疫系関連分子群としては更にMHC分子群が検出された。また、一連のストレスタンパク質群(ubiquitin,HSP family,GRP78/Bip)の発現誘導が観察され、本マウスにおけるストレス応答感受性上昇の可能性が示唆された。更に、アトピー性皮膚炎患者のIgE反応性自己抗原として最近同定されたalpha NAC、また、T細胞由来好酸球走化性因子として知られるgalectin-9 mRNAも検出され、本マウスの病態形成におけるこれら因子の誘導を基調とした関与が示唆された。 ノックアウトNCマウス作製については、β-2-microglobulin(β-2-m)欠損NCマウスの作製を試み、F5ヘテロ接合体を得ることができた。また予備的にF3 back cross系でノックアウトマウスを得たところ、野生型、ヘテロ、ホモ接合体ともに発症condition下での生育が可能であることも認めた。今後、更なるback crossを進めた後にintercrossを行い、CD8陽性T細胞やNK-T細胞を中心としたβ-2-m依存性T細胞群の病態形成における役割を検証する予定である。
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