研究課題/領域番号 |
10J01218
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
自然人類学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田島 知之 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 繁殖戦略 / オランウータン / 食物分配 / マイクロサテライト / 父子判定 / 繁殖競合 / 父性解析 / 繁殖成功度 / ボルネオオランウータン / 食物分配行動 / 食物移動 / 霊長類 / 性行動 |
研究概要 |
オランウータンの雄には「フランジ雄」と「アンフランジ雄」と呼ばれる2つの形態が存在する。このアンフランジ雄は二次性徴の発達を一時的に停止させており、激しい雄間競争を回避する代替繁殖戦略者である可能性が指摘されてきた。本研究は、「オランウータンの雌雄間でおこなわれる食物分配行動が、雄の繁殖戦術として機能しているか」という仮説について、行動観察とDNA分析の2つのアプローチから検証することを目的としている。 本年度はマレーシア・サバ州のセピロク・オランウータン・リハビリテーションセンターにおいて母子5ペアを含む22個体から採取した試料を用いてDNAを抽出し、父子判定の分析をおこなった。一部の試料は調査地で保管されている標本から許可を得て採取したものであったため、現地の研究機関で分析をおこなった。 雌が雄に対して食物分配をせがんだ場合、フランジ雄は分配に応じず、アンフランジ雄のみが分配に応じることが行動観察から明らかになった。しかしアンフランジ雄は子を残していないことが父子判定から示唆されたため、食物分配行動がアンフランジ雄の繁殖成功度を直接上昇させる機能を持つとは考えられない。一方でアンフランジ雄の発情雌に対する配偶行動がフランジ雄と同程度成功していたことから、アンフランジ雄によっておこなわれる食物分配行動が発情雌へのアクセスと近接状態の維持に寄与する可能性が考えられる。現在この点について行動データの詳細な分析を進めており、これらの研究成果を国際学術雑誌へ投稿するための準備をおこなっている。
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