研究課題/領域番号 |
11740141
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 広島大学 (2000) 東京大学 (1999) |
研究代表者 |
深沢 泰司 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60272457)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 銀河団 / X線観測 / 磁場 / ジェット / X線 / 重力ポテンシャル / 重元素アバンダンス / 加熱 |
研究概要 |
本研究では、銀河団中心部を最先端のX線観測装置で観測することにより、銀河団を満たしている高温ガスの物理状態を精密に測定することにより、銀河間磁場と銀河団重力ポテンシャルの役割を探るものである。 本年度の1つ成果は、昨年度と同じように「あすか」衛星で得られたこれまでの膨大なデータの解析結果を論文としてまとめ、発表した。その成果としては、これまで銀河団のイメージ解析によって得られていた高温ガスの放射冷却率が、X線スペクトル解析では約1割にしかならないことがわかった。これは、高温ガスの放射冷却を妨げるような加熱機構を示唆するものである。また、もう1つの「あすか」の成果としては、銀河団の小規模な系である銀河群から熱放射とは別の硬X線放射を検出したことである。この放射は、高エネルギー電子の存在を示唆するものであり、銀河団中で高エネルギーの加速が起きていることを意味する。これは、加熱とも関係がある重要な観測結果であり、論文としてまとめ、発表した。 次に、私が提案したChandra衛星に詳細X線撮像観測が実際に行われ、データが手に入った。そして、銀河団の中心部の高温ガスは、温度が1 keV以下のガスからの放射が見つからなかったころ、これまで思っていたよりも密度が非一様であることがわかった。前者は、銀河団中心部では予想よりも放射冷却率が低い可能性がある、とした「あすか」の結果を支持するものである。そして、後者は高温ガスを擾乱する何かメカニズムがあることをはっきりと意味する。そして、その候補として電波銀河からのジェットが浮かび上がってきた。実際に、高温ガスは電波ジェットのあるところでは密度が低くなっている。さらに、我々は電波ジェットが見えていない場所でも高温ガスの泡を見つけた。これは、電波で光らなくなってしまった古いジェットである可能性が高く、電波で観測しているだけでは、ジェットによる加熱を過小評価している可能性が出てきた。そして、時間がたっても高温ガスの音速で泡構造が消されていない、ということから泡は今は磁場で囲まれていることを意味する。よって、銀河団中心部で磁場がかなり重要な役割を果たしている証拠をつかんだといえる。
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