研究概要 |
本研究は退縮中の尾の細胞死においてbidが細胞死誘導活性を持ち、bcl-XLがこれを阻害するのか、それともbcl-XLと結合している他の細胞死誘導因子があり、bidがこれを遊離させることが細胞死に重要なのかを研究することを目的としていた。これまでの研究によりN末を欠失したbidがbcl-XLに結合し、in vivo,in vitroのアッセイ系において細胞死誘導活性を保つこと、bidのmRNAが変態期にわずかに増加することが分かった。そこで12年度はさらに研究を進めるために以下の実験を行った。 まず、bidの強制発現によって誘導された細胞死がbcl-XLによって阻害されるか否かを、培養細胞を用いて検討した。その結果bidによって誘導された細胞死はbcl-XLを同時に発現させることによって、ほぼ完全に抑制されることを確認した。 次にbidとGSTの融合タンパクに対する抗体を作成し、ウェスタンブロッティングを行ったが、変態最盛期のゼノパス幼生尾部においてbidは検出されなかった。抗体の特異性の問題など、今後確認しなければならない問題も残るものの、この結果及びmRNAの発現と増加がわずかであることを考えあわせると、bidが変態期のプログラム細胞死において、重要な役割を果たしてはいない事が考えられる。 そこで、本研究は第一の研究目的をbidによる細胞死のメカニズムの解明から、プログラム細胞死においてbidが生理的に働いているのか否かを解明することに変更した。仮にbidがプログラム細胞死に深く関与しているのであれば、当初予定していたbcl-2に結合しないが活性を持つミュータントbidを作成し、bidの作用機序にも踏み込んでいきたい。
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