研究課題/領域番号 |
12042249
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安倍 学 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30273577)
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研究分担者 |
野島 正朋 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80029181)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ビラジカル / スピン多重度 / 速度論的安定化 / 溶媒効果 / 寿命 / 電子的性質 / 量子化学計算 / 局在化ビラジカル / 1重項ビラジカル / 置換基効果 / 酸素官能基 |
研究概要 |
ビラジカル種の最安定スピン多重度(1重項vs3重項)に関する研究は、物理有機化学的興味のみならず、機能性有機材料(磁性・電子伝導性)開発の観点からも重要である。歴史的には、カルベンあるいは非局在化ビラジカル(非ケクレ分子、キノジメタン分子)を中心にした研究が行われ、それらの最安定スピン多重度、それに及ぼす隣接置換基効果、及び化学的反応挙動が明らかにされてきた。一方、局在化ビラジカル種に目を向けてみると、理論化学(量子化学計算)的にはある程度研究が行われているが、実験的にはまだまだ未知な部分が多い。すなわち、局在化ビラジカル種は分子内での反応性が非常に高く、化学的及び分光学的な捕捉が困難であった事が考えられる。そこで本研究では、速度論的に安定化を受けたシクロペンタン環上の1,3位にスピンを有するビラジカル種を研究対象として選び、(1)最安定スピン多重度に及ぼす2位上置換基の探査とその効果の解明、(2)スピン多重度に依存した化学的反応挙動の精査、を主な研究目的とした。 まず、理論化学計算(B3LYP/6-31G*)によりその最安定スピン多重度に及ぼす置換基(X, Y)効果を見積もった。その結果、一般的な置換基である酸素官能基が、その最安定スピン多重度に大きな効果を及ぼすことを見出した。すなわち、通常(X, Y置換基が水素あるいは炭素官能基の場合)3重項状態が最安定スピン多重度として存在するビラジカルは、2位上への酸素官能基の導入により1重項がその最安定スピン状態になることが理論的に予測された。次にその理論的予測を実験化学的に証明するために、局在化ビラジカルをジアゾ化合物より発生させ、その最安定スピン多重度とその反応性を調査した。その結果、ビラジカルは、確かに1重項状態をその最安定スピン状態として有していることが証明できた。さらに一重項の電子的性質を知る目的で寿命に及ぼす置換基効果を行った。
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