研究課題/領域番号 |
12J01270
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
病態検査学
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
奥橋 佑基 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2012 – 2013
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 白血病 / 臨床血液学 / シグナル伝達系 / siRNA |
研究概要 |
今年度は研究実施計画に基づき、Notch関連遺伝子のsiRNAを用いて、白血病細胞の分化、増殖への効果、タンパクおよび遺伝子発現量の変化を解析した。【目的】siRNAを用いたNOTCH1とNOTCH2の遺伝子発現の抑制の、白血病細胞の細胞増殖と下流のシグナル伝達系に対する効果を解析した。 【材料と方法】急性Tリンパ芽球性白血病(T-ALL)細胞株2種と急性骨髄性白血病(AML)細胞株2種の細胞株に対し、NOTCH1、NOTCH2を標的としたsiRNAを導入した。ノックダウンの細胞増殖とタンバク質発現に対する効果は、比色法WST-8アッセイとイムノプロット法を用いて解析した。 【結果】T-ALL細胞株において、NOTCH1のノックダウンはNOTCH2のノックダウンと同様に細胞増殖抑制効果を示し、アポトーシスを誘導した。MYCタンパク発現壁はNOTCH1をノックダウンした細胞では減少したが、NOTCH2をノックダウンした細胞では変化がみられなかった。AML細胞株では、NOTCH1とNOTCH2のノックダウンは, 細胞増殖に有意な変化は起こさなかった。また、NOTCH2のノックダウンはNotch1蛋白の発現を増加させることなく活性型Notch1断片を増加させた。 【考察】本研究より、NOTCHのノックダウンがNOTCH1変異をもつ2種のT-ALL細胞株の増殖を抑制させることを示した。NOTCH siRNAがT-ALL細胞株のDND-41とKOPT-K1の増殖を抑制することを示した研究は本研究が初である。 我々が知る限りT-ALLにおけるNotch2の役割はまだ報告されていない。本研究から、NOTCH2変異をもたないT-ALL細胞が、NOTCH1のノックダウンだけでなく、NOTCH2のノックダウンによっても細胞増殖が抑制されたことを見出した。 【結論】Notchシグナリングにおけるこれらの新しい知見は、白血病に対して有効なNotchを標的とした分子標的治療薬の開発や分子生物学的検査法の確立の基礎となることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って順調に研究が進展し、本研究の目的である白血病細胞におけるシグナル伝達系の分子機序の一端を明らかにすることができた。その結果、白血病に対する新たな分子標的治療開発の基礎となる知見が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究から、Notch1だけでなく、Notch2も白血病細胞の増殖に関与していることが明らがになったが、その分子機序はまだ明らかになっていない。よって、白血病細胞の増殖におけるNotch1、Notch2の機序と役割を解析し、その細胞特性を解明する必要があると考える。さらに、Notchシグナル阻害剤の増殖抑制効果が白血病幹細胞や患者由来の白血病細胞にも当てはまるか否かを調べ、症例ごとの薬剤感受性検査法を樹立する必要がある。
|