配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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研究概要 |
本研究は,気相の分子集合体(分子クラスター)が電子をトラップする性質や,柔らかい構造によって容易に分子を取り込む性質をもつことを利用し,分子クラスターをミクロなフラスコとして用いる新規な気相負イオン反応を開発することを目的とした. 1.水クラスターを利用した負イオン反応:水クラスター表面にCO_2^<・->ラジカル負イオンを固定した気相反応試薬CO_2^<・->(H_20)_nを調製し,CH_31とのラジカル付加反応によって炭素-炭素結合が生成することを見出し,(H_20)_n表面に固定・安定化させたディストニック負イオンを用いるプロトタイプ的な反応経路を例示した. 2.(CO_2)_n^-のラジカル付加反応:ビーム・エントレインメント法と質量分析法,負イオン光電子分光法を併用し,(CO_2)_n^-がNO, O_2等に対してCO_2^<・->の合成等価体を含む反応性ミクロフラスコとなることを見出した. 3.ab initio計算による[(CO_2)_n(H_2O)_m]^-の評価:高精度ab initio計算によって,CO_2^<・->を含む共溶媒系ミクロフラスコ[(CO_2)_n(H_2O)_m]^-(n=1-4,m=1,2)の幾何構造・電子構造を 推定した.総計117個の構造異性体を見出し,その安定化エネルギーを評価した. 4.赤外分光による[(CO_2)_n(H_2O)_m]^-の評価:赤外光解離分光を用いて[(CO_2)_n(H_2O)_m]^-の振動スペクトルを調べ,ミクロフラスコとしての構造を明らかにした.特に,n=4を境に水和構造が劇的に変化することによってCO_2^<・->を選択的に安定化するエントレーナー(共溶媒)効果を見出した. 5.I_3^-(H_2O)_nの光解離過程:光解離フラグメント飛行時間測定とSOCI計算を用いて,I_3^-光解離の非断熱ダイナミクスとミクロ溶媒和効果を明らかにした.
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