研究課題/領域番号 |
15654037
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉立 徹 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80144806)
|
研究分担者 |
志垣 賢太 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70354743)
本間 謙輔 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40304399)
高橋 徹 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (50253050)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | カイラル対称性 / 媒質効果 / 閾値中性パイ中間子光生成 / タングステン酸鉛結晶 / PWO結晶 / 電磁カロリメータ |
研究概要 |
量子色力学の特異的な性質であるカイラル対称性部分回復の検証を目指し、原子核媒質中におけるパイ中間子の光生成崩壊実験を行う。中間子の核内崩壊を保証するため、中間子はできるだけ低い運動量で生成する必要がある。さらに、媒質中の質量測定のため、崩壊粒子は強い相互作用をしないことが要求される。これらの条件を検討した結果、閾値エネルギー付近の光子吸収により原子核中に深く静止した中性パイ中間子を生成し、崩壊光子の精密測定から媒質中の中間子質量を決定する。 広島大学VBL施設・超高速電子周回装置の引き出し電子線ビーム(150MeV)を炭素原子核標的に入射し、標的を挟んでビーム軸を含む平面内の相対する位置に置く2基の光子検出器で2光子崩壊事象を検出する。前年度開発した20x20x200mmのタングステン酸鉛結晶9本を3×3に組み合わせた電磁カロリメータで各光子検出器を構成した。標的核直前のビーム位置検出器の検出情報と、少なくとも一つの光子検出器に大きなエネルギー付与の検出情報を有効な事象として物理データ収集した。当初の想定より引き出し電子線ビームの強度が得られなかったものの、8日間のビーム実験において約100K事象のデータ収集を行った。 真事象は静止中性パイ中間子の2光子崩壊であるため等しいエネルギーの光子を正反対の方向へ放出する。従って、それぞれの光子検出器に等しいエネルギー付与した12事象を選別し有意事象とした。この有意事象はピーク値130MeV、標準偏差10MeVで、低質量側に裾を引く不変質量分布を示した。この有意事象中に含まれるバックグランド事象を差し引き、不変質量分布の媒質効果を議論するためには、今後さらに実験と解析を進展させる必要があるが、本萌芽研究の目標である中性パイ中間子の原子核光生成実験は見事に成功したように見える。今後の研究の進展が楽しみである。
|