研究分担者 |
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50169265)
田原 栄俊 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00271065)
小川 郁子 広島大学, 病院・講師 (70136092)
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50314753)
佐藤 淳 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70335660)
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研究概要 |
最も代表的な唾液腺腫瘍である多形性腺腫(PA)の組織起源や組織像の多様性を明らかにするために,本研究では不死化遺伝子導入によりPA由来細胞株樹立を試みた.本年度は1.前年度において株化に成功したPA由来細胞を継代増殖させるとともに,PA細胞のin vitroにおける細胞特性の解析を継続するとともに,2.ヌードマウスにPA由来細胞を移植し,in vivoにおける細胞の特性解析を解析した. その結果,1.PA細胞は継代を重ねても,PAの上皮性細胞や腫瘍性筋上皮細胞に特徴的なcytokeratin, lactoferrin, lysozyme, S-100 protein, vimentin, calponinを種々の程度に発現するとともに,腺上皮細胞間接着蛋白であるocculusinや水輸送に関係するaquaporinを発現していた。また,これらの蛋白の発現の多くは3次元培養系でも確認できた.2.FGF-1のPA細胞の増殖に対する影響をみたところ,ほとんど反応を示さず,FGFR-1の発現も弱かった。3.CAMPを加えることで,PA細胞の形態が変化し石灰化物の形成が観察された.4.マウスの皮下にPA細胞を移植し1及び6ヶ月後に組織学的に観察したところ,移植細胞はすべて吸収され、in vivoにおける細胞特性や組織分化を観察することはできなかった。 以上のように,本研究で株化に成功した細胞はin vitroでPA構成細胞の特性を示しており,PAの組織起源や組織分化を検討する有用な細胞モデルとなることが明らかになったが,in vivoでの腫瘍形成や間葉様組織分化誘導のための条件についてはさらなる検討が必要であることが示された.以上の成果を取りまとめ,国際口腔病理学会にて発表した.
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