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インドネシアにおける学校と地域を紡ぐカリキュラム(システムガンダ)に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15730383
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 教育社会学
研究機関大東文化大学

研究代表者

田尻 敦子  大東文化大学, 文学部, 講師 (00327991)

研究期間 (年度) 2003 – 2005
研究課題ステータス 完了 (2005年度)
配分額 *注記
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード状況的学習論 / 学校誌 / エスノグラフィ論 / 学校と地域 / バリ島 / 美術教育 / ノンフオーマル教育 / カリキュラム / インドネシア / ブータン / 学校と地域の関係 / 学校と地域の協働 / 教育人類学 / インフォーマルエデュケーション / 職業教育
研究概要

今年度は、8月、12月、2月、3月にインドネシアのバリ島の美術高校がどのようにして地域との関係のもとで誕生し、運営されてきたのかという点について、聞き取り調査を行った。
バリで活躍する画家の多くは美術高校出身者である。美術高校デンパサール校の初代の生徒は8名であった。その多くはバリ美術界の重鎮となっている。例えば、現代美術作家のマデ・ウィアンタ氏、美術高校ウブドゥ校校長を務めたワヤン・シカ氏、バリ州文化庁長官、教育文化省長官、アートセンター長、美術高校校長を歴任したニコナヨ氏などは初代の生徒である。一方、美術高校ウブドゥ校の初代出身者のカトゥット・ブディアナ氏は、伝統美術の巨匠として東京ステーションギャラリーで個展を行い、スペインやデンマークの芸術祭などに招聘されている。その一方で、祝祭における牛の棺や、寺の彫刻などを行うサンギンとして活躍し、美術高校の教員としても多くの画家を育ててきた。美術高校は、伝統画、近代画、現代美術、彫刻、メディア、祝祭や寺の装飾、行政組織、学校など多様な分野で、バリ美術界を支え、新たな流れを生み出す人々を輩出してきた。
彼らの学習過程についてインタビューを行ったところ、彼ら自身が、「第二の母」と呼ぶ教員が存在したことが明らかになった。美術高校デンパサール校のカジェン女史である。カジェン女史は、ジャワ島の美術学院の初代の学生として学び、美術高校の創設に尽力し、長年、校長を努めた。バリ美術館で勤務し、アートセンターの長も勤めた。しかし、すでに故人であるカジェン女史についてはほとんど書かれた資料として残っていない。当時、カジェン女史と共に美術高校を設立した画家のワヤン・カヨ氏や、友人の画家カルティカ・アファンディや親族、生徒、元同僚などにインタビュー調査を行った。
美術高校の創設に携わったのは、バリ州知事や、バリの文化戦略を立てる行政組織の長などであった。こうした行政組織に焦点を当てた場合、あたかも行政組織が学校を生み出したかのように見える。しかし、文化戦略を立てる省庁の担当者ワヤン・カヨ氏はカジェンの大学時代の同窓生であった。また、バリ州知事もオランダ学校時代の同窓生であった。ワヤン・カヨ氏によれば、自分は画家なので画家を育てる学校を設立したかったという。このように、行政文書だけではなく、担当者のライフヒストリーを聞き取ることで、学校教育の階梯を辿る過程で生まれた小さな共同体が、美術高校をめぐる複数の共同体から成るバリ美術界の誕生の母体の一つであったことが明らかになった。
また、美術高校の教員や卒業生が、スイスのバーセル市の民族博物館、オランダの熱帯美術館、日本の福岡アジア美術館などの多様な地域との相互作用のもとで複数の共同体を活性化させていることが明らかになつた。
このように、個人のライフヒストリーの聞き取りから、学校と地域の実践共同体の相互生成の過程が再構成された。

報告書

(3件)
  • 2005 実績報告書
  • 2004 実績報告書
  • 2003 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2005 2004 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 文献書誌 (2件)

  • [雑誌論文] 種としてのエスノグラフィー-バリ島の美術学校で学んだ個人のライフヒトリーと学校誌-2006

    • 著者名/発表者名
      田尻 敦子
    • 雑誌名

      関係性の教育学 Vo 5 No 1

      ページ: 150-158

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] 教師の学校と地域と家庭における学習過程 バリ島の美術高校の元校長ワヤン・シカ氏の語る自らと学校の歴史2005

    • 著者名/発表者名
      田尻 敦子
    • 雑誌名

      大東文化大学 紀要 社会科学 第43号

      ページ: 21-57

    • NAID

      110004723368

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] ワークショップの三つの危険性とリフレクション NPO学習環境デザイン工房のアート系ワークショップに関する状況的学習論に基づく考察2005

    • 著者名/発表者名
      田尻 敦子
    • 雑誌名

      人文科学(大東文化大学人文科学研究所) 第10号

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 殺し殺される関係から対話へ-暴力の連鎖を植民地教育論から問い直す-2004

    • 著者名/発表者名
      田尻 敦子
    • 雑誌名

      教育(教育科学研究会)(国土社) 第54巻・第9号

      ページ: 113-118

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [文献書誌] 田尻 敦子: "悼みと学び-喪の写真を語る実践 韓国における全国教職員組合とプルム学校の訪問"日韓教育フォーラム. (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 田尻 敦子: "インドネシアの教育と文化-オリエンタリズム問題を中心に-"教育. (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書

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公開日: 2003-04-01   更新日: 2016-04-21  

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