研究課題/領域番号 |
16340114
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
乾 雅祝 広島大学, 大学院総合科学研究科, 助教授 (40213136)
|
研究分担者 |
星野 公三 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (30134951)
梶原 行夫 広島大学, 大学院総合科学研究科, 助手 (20402654)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
16,400千円 (直接経費: 16,400千円)
2006年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2005年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
|
キーワード | 液体金属 / 局所構造 / 動的構造 / 非弾性X線散乱 / X線小角散乱 / X線回折 / 液体半導体 / 超臨界流体 / 静的構造 |
研究概要 |
本研究は、原子が凝集して金属や半導体になる過程を理解することを目的に、金属・半導体流体を高温高圧下で膨張させたとき、電子状態の変化に伴う構造変化をSPring-8の放射光を利用して調べてきた。実験は以下の物質について行い、次に述べるような成果を得た。 (1)液体ならびに高温高圧下の膨張した流体セレン(Se) 非弾性X線散乱法により得られた液体Seの動的構造因子から、鎖状高分子液体に特有なダイナミクスと考えられるピークの先鋭化を観測した。液体Seは、温度の上昇に伴い鎖が切断・分岐し、高温高圧下の超臨界領域で半導体-金属転移を起こす。半導体-金属転移領域では小角散乱強度が増大し、非弾性X線散乱で得られた動的音速が超音波で測定される断熱音速よりも2倍以上大きいことを見出した。これらの結果は半導体-金属転移領域に出現する特徴的なゆらぎによると考えられる。 (2)液体3セレン化2ヒ素(As_2Se_3)の短・中距離構造 2配位のSeと3配位のAsからなる液体As_2Se_3も高温高圧下で半導体-金属転移を起こす。X線小角散乱実験の結果、半導体-金属転移領域で小角散乱強度の増大を観測したが、スペクトルの形状は流体Seとは異なるように見える。一方、X線回折から得られた局所構造は、半導体-金属転移領域で大きな異常を示さなかった。 (3)流体イオウ(S)のX線回折実験 重合転移点以上の温度で鎖状構造を有する流体Sは、高温高圧下でも半導体-金属転移を起こさない。X線回折実験により局所構造の密度変化を調べた結果、超臨界のある密度領域では2原子分子間の相互作用が大きく、2原子分子を単位としたクラスターが存在することを見出した。 今後は様々な流体を対象に半導体-金属転移のダイナミクスを調べることにより、動的音速が断熱音速の数倍速くなる理由を解明し、半導体-金属転移に特徴的なゆらぎの正体を明らかにする予定である。
|