研究概要 |
本研究は,半導体にひずみを付与すると電気的特性が変化することを活用し,半導体の一種である亜酸化銅太陽電池を取り上げ,ひずみの付与による太陽エネルギを電気エネルギへ変換する変換効率を向上させて亜酸化銅太陽電池を高性能化することを目的とする。本年度は初年度の研究を発展させ、ひずみを活用した亜酸化銅太陽電池の高性能化を図った。 1.光起電力効果におけるひずみの影響の定量的評価 銅板を高温酸化させて亜酸化銅を銅板上に生成させた試験片を作製し,それを片持ちはりとして荷重-変位を測定し,亜酸化銅の縦弾性係数を求めた。また酸化条件を変化させた亜酸化銅のひずみを,2次元検出器を有するX線回折装置を使用して2D法により,求めた縦弾性係数を用いて亜酸化銅の残留ひずみを評価した。その結果,酸化条件により残留ひずみが異なることを明らかにした。また亜酸化銅太陽電池に曲げ応力や垂直応力を与えることにより,光起電力が向上することを明らかにし,求めた縦弾性係数により,亜酸化銅に負荷した応力をひずみに換算して評価した。 2.光起電力効果におけるひずみの影響の電気的特性の評価 銅板から生成した亜酸化銅太陽電池について太陽電池シミュレータにより光起電力を計測しながら,ひずみを付与して,ひずみにより光起電力が向上することを明らかにした。また亜酸化銅太陽電池にひずみを付与しながら亜酸化銅太陽電池の抵抗などを計測した結果,ひずみによる光起電力向上には,亜酸化銅太陽電池のショットキー障壁が変化している可能性を明らかにした。 3.ひずみを活用した亜酸化銅太陽電池の高性能化 亜酸化銅を酸化する際の酸化時間や酸素分圧により光起電力が異なることを明らかにし,最適酸化条件を得た。また亜酸化銅太陽電池に曲げ応力を負荷するよりも垂直応力を負荷したほうが亜酸化銅太陽電池を高性能化できることを明らかにした。
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