研究概要 |
本研究ではヒトセメント芽細胞に特異的に発現する遺伝子を探究することを目的に以下の研究を行った。ヒト間葉系幹細胞(hMSC)をヒト歯周靱帯由来細胞との共培養を行うことによってセメント芽細胞様細胞へと分化させた。Total RNAを抽出し、マイクロアレイ法を用いて発現の上昇した遺伝子および減少した遺伝子を28000遺伝子に関して網羅的に解析した。その結果、共培養によって発現が2倍以上上昇した遺伝子はPeriplakin, Interleukin 26, LIM domain binding 2, C-type lectin domain family3等の32遺伝子、発現が2倍以上減少した遺伝子はInhibitor of DNA binding(ID)3, ID1, Pre-B-cell leukemia transcription factor1, NADPH oxidase 4, Hyaluronan synthase 1等の31遺伝子であった。この発現が変動した遺伝子の中には、硬組織のmetabolismに関係する遺伝子も多く含まれていた。Insulin-like growth factor binding protein(IGFBP)-1およびIGFBP-5は共に2.2倍発現が上昇し、dominant negative helix-loop-helix proteinであるID-1は-6.7倍、ID-3は-5.2倍,SMAD7は-2.2倍減少していた。マイクロアレイ法の結果を確証するために、real-time PCR法を用いて発現の変動を確認した。これら発現の変動した遺伝子のなかにはヒトセメント芽細胞の特徴を有する遺伝子が含まれていると考えられる。
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