研究概要 |
1.研究概要 全く新しいエネルギー供給形態として「MicroGrid(マイクログリッド)」なるものが提唱され,注目を集めている。これは独立運転が可能な自律的小規模系統であり,高い供給信頼度を確保することができるものであるが,独立運転の際,多数電源の集中配置によって引き起こされる不安定現象が問題となる。よって本研究では,それら不安定現象の実験的,理論的解析とその抑制制御方法の開発を行った。 2.研究成果 今年度はまず,昨年度構築した分散電源のモデルを改善し,シミュレーションによる動作確認を行った。また,基幹系統に対するH_∞制御およびPSO法を利用した系統安定化装置(PSS)の設計に関する研究も行い,マイクログリッドの安定化に対する適用可能性を探った。具体的には,以下のとおり。 (1)Matlab/Simulinkを使用し,モデルを改善・確認 昨年度構築した電源モデルをMatlab/Simulinkを用いて実装した。また,それらが単体で接続されている場合のシミュレーションを行い,各電源モデルが適切に動作していることを確認した。 (2)開発したモデルを用いてマイクログリッド内で生じる現象を実験的に検討 続いて,開発した電源モデルを含めたマイクログリッド全体のモデルを構築し,基本的な場合についてシミュレーションを行った。その結果,単独運転に移行する際の不安定現象が発生する場合および発生しない場合をそれぞれ模擬することができ,上記不安定現象が電源間の特性の違いによって引き起こされることを確認した。 (3)基幹系統に対するロバストPSSの設計 基幹系統に対し,H_∞制御およびPSO法を利用した系統安定化装置(PSS)のロバスト設計に関する研究を行った。結果,ノミナル条件から離れた場合でもロバストな安定化を実現する設計を得ることができた。これは,マイクログリッドの安定化に対しても有効であると考えられる。(「11.研究発表」を参照)
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