研究課題
基盤研究(C)
本研究が目的としたことは、フランスの植民地であったセネガルにおいて、なぜ現在に至るまでフランス語普及が限られた水準にとどまっているのかを、フランス植民地政策、フランス語教育史に関する資料、およびセネガル現地における聞き取り調査を通じて明らかにすることであった。聞き取り調査の結果の分析と文献資料調査を通じて明らかになったことは、植民地期においては、フランス語を植民地全体に普及させることは目指されておらず、すべての住民にフランス市民権が与えられていた四つの「コミューン」においてさえ、独立直前までフランス語教育の普及は非常に限定されていたということと、独立後も、フランス語教育は計画通りには普及せず、1970年代以降は停滞が顕著であり、また、就学した人々にとっても多くの場合はフランス語知識は非常に限定された水準にとどまっていたということである。フランス植民地政策の「同化主義」も、独立後の親フランス政策も、セネガルにおいてフランス語を普及させたとは言えず、むしろ一部のフランス語教育を受けた層とそれ以外の層の乖離を深める結果を招いたということを明らかにしたことは、セネガルおよび旧フランス領諸国の言語文化史に新しい視点をもたらす成果である。本研究課題以前からの蓄積および研究期間中に収集した文献資料研究の成果、平成18年度のセネガル現地における聞き取り調査の結果を総合し、多言語社会研究会、日本フランス語フランス文学会における研究発表、日本アフリカ学会等における意見交換を経て、平成19年12月に単著『ポストコロニアル国家と言語-フランス語公用語国セネガルの言語と社会』を刊行するとともに、本研究課題の研究報告書を作成した。
すべて 2008 2007 2005
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)
Sangensha
ページ: 504-504
学位論文(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科)
ページ: 328-328
『国際シンポジウム交差するアジア、北アフリカ 文化、科学技術研究 報告論文集』、筑波大学北アフリカ研究センター
ページ: 112-120
『脱帝国と多言語化社会のゆくえ-アジア、アフリカの言語問題を考える(ことばと社会別冊2)』、三元社
ページ: 102-120
At the Crossroads of Asian & North African Culture and Technology : Proceedings of the International Symposium on North African Studies, Alliance for Research on North Africa, University of Tsukuba
Post Empire and Multilingual Societies in Asia and Africa, Sangensha
国際シンポジウム 交差するアジア・北アフリカ文化・科学技術研究 報告論文集(筑波大学北アフリカ研究センター)
脱帝国と多言語化社会のゆくえ-アジア・アフリカの言語問題を考える(ことばと社会別冊2)(三元社)