研究課題/領域番号 |
17530109
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯田 文雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70184356)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,840千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 240千円)
2007年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 政治学 / 思想史 / 多文化主義 / リベラリズム / アメリカ / ロールズ / キムリカ / ヤング |
研究概要 |
(1)本研究ではまず、「少数派の権利」論自体の近年の変化やそれに対する批判等の理論的論点を多面的に検討した。その結果、女性や高齢者・障害者等、他の少数派集団からのアイデンティティー要求をもその中に広く包摂しようとするヤングらの少数派理論の台頭は、高齢者や障害者等に対しても文化同様の地位を認める、キムリカ理論の近年の変化にも影響を及ぼしつつある等の重要な知見が得られた。加えて本研究では、近年「少数派の権利」論に対して生じたフェミニズム等他の少数派集団からの諸批判については、多文化主義の権利基底的な言説の限界に着目する批判、その基本権侵害的側面に着目する批判、その資源配分上の不平等性に着目した批判に類型化することが有益である等の事実が確認された。更に、本研究では、近年の「少数派の権利」論は、社会統合への配慮の必要性から、討議民主主義やシティズンシップ論との融合化傾向を示していることも確認された。(2)更に本研究では、こうした現代アメリカの議論を他の地域や時代におけるりベラリズム論、とりわけその少数派文化観と比較し、その特質を把握することを試みた。その結果、本研究では、現代アメリカ・リベラリズムの動向は、同様に少数派文化問題が顕在化した、戦間期アメリカやイギリスのリベラリズム論との親近性を有していることが確認された。加えて、本研究では、こうした現代アメリカの議論を戦後日本のりベラリズム論と比較した場合、具体化された「少数派の権利」に関する提言は極めて希薄であるが、戦後啓蒙の諸論者が展開した政治的多元性・多様性の擁護の議論には、類似の関心が共有されていることが確認された。
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