研究概要 |
唾液腺腫瘍におけるCENP-Fの発現を明らかにする目的で,当科にて手術時に摘出した唾液腺腫瘍におけるCENP-Fの発現と臨床病理学的指標や転移および予後との関わりについて検討した.その結果,CENP-Fの過剰発現と,その遺伝子発現と腫瘍の増殖活性との間の相関関係を認めた.(Oral Oncol.2005;41:716-22).また,唾液腺腫瘍におけるBub1の発現を明らかにする目的で,当科にて手術時に摘出した唾液腺腫瘍におけるBub1の発現と臨床病理学的指標や転移および予後との関わりについて検討した結果,唾液腺悪性腫瘍でBub1は高発現していた.さらに,Bub1の発現と腫瘍の増殖活性との間に相関関係をみとめ,この結果を報告した(Oncol Rep.2006;15:933-8).このことは,CENP-F及びBub1両遺伝子が唾液腺悪性腫瘍の増殖において重要な役割を担っていることを示唆するものである. さらに,口腔扁平上皮癌におけるCENP-Hの発現解析を行った結果,口腔扁平上皮癌でのCENP-H mRNAの発現は正常歯肉および上皮異形成症に比較して亢進していた.また口腔扁平上皮癌においては,CENP-Hの発現レベルが高い例では,Ki-67 labeling indexが有意に高いことが判明した.以上より,CENP-Hの高発現を示す口腔扁平上皮癌は高い増殖能を持つことが示唆された(Oncol Rep.2006;156:1071-5).
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