研究課題/領域番号 |
19402024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西村 知 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20253388)
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研究分担者 |
川田 牧人 中京大学, 現代社会学部, 教授 (30260110)
不破 信彦 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90302538)
美甘 信吾 信州大学, 経済学部, 准教授 (90377614)
関 恒樹 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教 (30346530)
長坂 格 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (60314449)
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連携研究者 |
川田 牧人 中京大学, 現代社会学部, 教授 (30260110)
不破 信彦 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90302538)
美甘 信吾 信州大学, 経済学部, 准教授 (90377614)
関 恒樹 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (30346530)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2009年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2008年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2007年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | フィリピン / 共同性 / 市民社会 / 社会階層 / 社会経済変化 / 複数性 |
研究概要 |
資産、所得の階層性が顕著なフィリピン社会において、下位の社会階層の国民が豊かな生活を構築するための潜在能力、エンタイトルメントの獲得において、各社会階層(上位、中位、下位)内のそれぞれの動態、そして階層を超えた共同性の形成が重要な役割を果たす。国民の多くが参加できる社会経済発展は、そのような階層を超えた社会経済的インターアクションによって西洋とは異なる、あらたな市民社会が形成されるかどうかに依存している。そのような、「市民社会」、「共同性」がフィリピン社会において実際に現れているのかどうかを、研究代表者、連携研究者の学際的(経済学、政治学、文化人類学、社会学)フィールド調査によって明らかする試みをおこなった。 その結果、このテーマを考察する場合には、階層に関わらず、資本、労働のグローバリゼーションがフィリピン社会に影響を与え、特に、中・下位層において、差異化、複数化が進んでおり、共同性の形成のされかたも複雑化していることが確認された。 研究代表者の調査地であるルイシータ農場では、スペイン時代からの地主と農民・労働者とのパトロン・クライアント関係は形を変えながら継続している。その一方、農民・労働者の中には海外労働者からの送金や農園内の外資系企業に働く家族の意識変化の影響を受け、短期的には犠牲を払っても、雇用や賃金体系の透明性、権利を求める傾向が出てきている。しかし、血縁・地縁ともに脆弱な最下位層はそのような余裕はなく、再び地主層に不透明な温情関係を求める傾向にある。 この研究では、制度を必ずしも市場機能が合目的に働くためだけの存在ととらえず、土地の歴史や文化に影響を受け人々に運用される側面や、制度の生物学的変容過程を重視するホジソンを中心とした現代制度経済学が重要であることがわかった。また、人々の制度の運用の過程で必然的に生じる包摂・排除の過程はヤングらの社会学のアプローチが有効であることも確認された。 土地制度は他の制度と同じく岐路依存性が強いものではあるが、状況の変化によって、その形を変えている。このプロセスが真の経済開発につながっているかどうかどうかは、住民がホジソンのいう「理性的革命」を経ているのかどうか、あるいは特定のグループが排除されていないかどうかが重要な試金石となる。
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