研究課題/領域番号 |
19880029
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学
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研究機関 | 広島大学 (2008) 東京工科大学 (2007) |
研究代表者 |
川井 清司 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (00454140)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,115千円 (直接経費: 2,710千円、間接経費: 405千円)
2008年度: 1,755千円 (直接経費: 1,350千円、間接経費: 405千円)
2007年度: 1,360千円 (直接経費: 1,360千円)
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キーワード | ガラス転移 / アモルファス / 熱分析 / エンタルピー緩和 / 非平衡状態 |
研究概要 |
多くの乾燥食品がアモルファス状態にあり、水分含量や温度の変化によって熱力学的に非平衡なガラス状態になる。ガラス状乾燥食品の様々な性質を制御するには、時々刻々と変化し得る非平衡状態について理解すべきと考えられるが、そのための試みはこれまでに殆ど無かった。本研究の目的は、ガラス状乾燥食品の非平衡状態を、示差走査熱量計(DSC)を用いた緩和エンタルピー(△H_<relax>)測定によって把握し、物性制御への利用について検討することであった。様々な単糖類をモデルアモルファス食品として用い、クエンチング(溶融状態からの急速冷却)、凍結乾燥及び加熱乾燥によってガラス状試料を得た。これをDSCによって一定速度で昇温、冷却、再昇温し、得られた2つの昇温走査曲線の差より導き出されるピーク面積かろ△H_<relax>を求めた。その結果、ガラス状試料の熱履歴によって正及び負の△H_<relax>が得られること、ガラスの非平衡状態が平衡状態に近いほど△H_<relax>が低いことが明らかとなり、本手法によってガラス状物質の非平衡状態の相違を定量的に把握できることが確かめられた。ガラス状物質の非平衡状態の相違は様々な品質に影響を及ぼすと考えられる。ガラス状凍結乾燥食品における化学的変化の例として非酵素的褐変反応との関連について調べたが、明確な関連隆は認められなかった。これはガラス状食品の中で非酵素的褐変反応が局所的に進行するためと考えられる,一方、ガラス状凍結乾燥食品における物理的変化の例として結晶化特性との関連について調べたところ、△H_<relax>が低いほど結晶化温度が高くなる(結晶化への耐性が高まる)ことが示唆された。これはガラスが平衡状態に近い状態にあり、密度が高く、分子運動性が拗制された状態にあったためと考えられる。以上の結果より、ガラス状食品の非平衡状態の相違を理解することの重要性とその範疇が明らかとなった。
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