研究概要 |
本研究の目的は,スワヒリ海村社会の資源利用と多民族共存に焦点をあてて,歴史・自然環境分析を用いて比較研究することで,スワヒリ海村社会全体の構造を解明することである。ケニアのラム諸島(ラム,マンダ,パテ)とタンザニアのキルワ島で比較研究を行った。ラム諸島とキルワ島はともに,初期スワヒリ交易都市であり,自然環境も類似している(マングローブとサンゴ礁の海)しかし,現在のキルワ島が人口1000人足らずの小海村である一方,交易や観光業で栄えるラム島の人口は2万人ちかくもあり,民族構成もキルワ島より複雑である。このようなラム島の多民族には,民族に応じた生業形態,生業空間,資源利用,居住空間の住み分けがみられた。今後,宗教(イスラームとキリスト教),観光客など外部者の存在,経済・教育格差などの問題についても考慮し研究を精緻化する必要がある。
|