研究課題/領域番号 |
20890082
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
白坂 善之 金沢大, 薬学系, 助教 (60453833)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,302千円 (直接経費: 2,540千円、間接経費: 762千円)
2009年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2008年度: 1,742千円 (直接経費: 1,340千円、間接経費: 402千円)
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キーワード | 薬学 / 薬物動態学 / 消化管吸収 / トランスポーター / 薬物間相互作用 / 細胞・組織 / 生体分子 |
研究概要 |
非代謝性のβ_1受容体遮断薬talinolo1は、グレープフルーツジュースの併用により、ラットにおいてはAUCの上昇が、ヒトにおいてはAUCの低下が報告されており、その原因としてinflux/effluxトランスポーターの関与が推察された。そこで本年ではまず、モデル化合物としてtalinololを用い、消化管吸収に働くことが示唆されているOATP/Oatpと吸収障壁として働くP-gpとの相互作用をこれらトランスポーター間にある活性の優位性に基づいて評価を試みた。Oatp発現oocyteを用いた検討により、talinololはラットOatpla5の基質となることが明らかとなった。また、Oatpla5によるtalinololの輸送はnaringinにより阻害され、そのIC_<50>値は12.7μMと算出された。一方、Mdrla発現細胞による検討からラットP-gpによるtalinololの輸送もnaringinにより阻害され、そのIC_<50>値は604μMであることが明らかとなった。したがって、実際の消化管におけるtalinololの吸収は、naringinのIC_<50>値の違いに基づいたOatpla5およびP-gp阻害に影響される可能性が示唆された。すなわち、低濃度naringinによりOatpla5が阻害され吸収性が低下し、高濃度naringinによりOatpla5に加えP-gpも阻害され吸収性が回復することが期待される。そこで次に、talinololの消化管吸収に及ぼすOatpla5の影響を観察することを目的に、様々な濃度のnaringin併用下におけるラット小腸膜透過性の評価を試みた。その結果、talinololの膜透過性は低濃度naringin存在下で有意に低下し、高濃度naringin存在下で有意に上昇した。経口投与後におけるtalinololのAUCも同様な変動傾向が観察されたことから、talinololの吸収過程においてOatpla5とP-gpがその活性の優位性に基づいて機能している可能性が示唆された。ヒトOATPもnaringinによって阻害されたことから、talinolol吸収がP-gp/OATPにより調節されていることが推察される。
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