配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2009年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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研究概要 |
昨年度納入されたX線回折用8T縦磁場超電導マグネットシステム,我々のグループで製作した3Heガス循環型クライオスタットの仕上げを行い,SPring-8のBL22XUに持ち込んだ.立ち上げテストの後,極低温共鳴X線回折実験を3種類の試料(Ce0.7La0.3B6,PrPd3S4,DyPd3S4)について行った。最初に行ったCe0.7La0.3B6では,過去の報告のとおり,1.4K以下で発達するE2共鳴を確認し,さらに最低温度0.6Kまで,回折強度の磁場依存性の測定も行った.その結果,T>1.4KでのI-II相転移からT<1.4KでのIV-III相転移に移ると,磁場誘起相転移が2次相転移から1次相転移的な振舞いに変わることがわかった.PrPd3S4では1.6K以下で成長する,恐らくE2共鳴と思われる回折ピークを見出した.中性子回折で反強磁性秩序が観測されているが,基礎物性からの考察の通り,単純な双極子秩序ではなく,多極子が関与している可能性が高いと言える。DyPd3S4ではTQ=3.0Kの反強四極子秩序が観測され,磁場により磁気双極子の秩序が誘起される様子が観測された.いずれも最低温度0.5K台まで温度が下がっており,また0.9Kや1.3Kといった一定温度を保持しながらの長時間測定も問題なく行えている.実験環境としては当初の目的が十分に達成されたと言える.
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