研究課題/領域番号 |
21650171
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用健康科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
跡見 順子 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任研究員 (90125972)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 健康科学 / 重力健康科学 / バランス制御 / fMRI / 脳 / 体幹 / 分子シャペロン / 心筋細胞 |
研究概要 |
人間は、衛生環境の改善により寿命を倍に延長させたが、肝心な自分の身体の生存維持原理を明らかにする視点を持ち得ていない。本研究では、「重力場における生命原理:"動的不安定性"の適切(軸・中心を定義)・適度(ホメオスタシス成立範囲内)な維持を、多細胞動物であるヒトへ適用するために、個体(身体)と細胞の二階層での対応策を考え、かつ両レベルを適切、適度に動物のシステム原理と人間原理の両軸から対応させる必要があることを明らかにし、それらを統合する方策を提案することを目的とする。今年度はH22年度に実施できなかった細胞実験を行った。当初の予定では細胞骨格の外乱剤、Ca2+の時空間的変化及び強度などの解析を行う予定であったが、農工大・渡辺研究室との共同研究が可能になったので、ファインな細胞力学評価系を用いた独創性の高い研究を行った。すなわち身体運動時に細胞外基質の分泌能力の高い間充織由来細胞のうち、L6筋芽細胞を用い細胞骨格の分子シャペロン・αB-クリスタリンの多寡による細胞接着・ダイナミクスを三次元マイクロ加工アクリルアミド剣山上で行い、細胞が接着時に発揮する力(接着細胞の健康度の指標になる)を定量的に評価した。その結果、アンチセンスαB-クリスタリンを発現するL6細胞は、対照のL6細胞に比較して接着力が弱く、細胞形態も異なり、αB-クリスタリンが筋芽細胞の健康度に大きく関わっていることが示唆された。このことは宇宙での微小重力下で引き起こされる廃用性筋萎縮の問題との関連が予想されるため、今後さらに追求していきたいと考えている。以上をもって2年間にわたる「重力健康科学の基盤創成」は完了したが、細胞およびヒトレベルにおいて一定の成果を得ることができ、いまだ抜本的な対策がとられていない超高齢社会における身体問題について科学的根拠を打ち出す新規学術領域創成への芽を育むことができたと考えている。
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