配分額 *注記 |
8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2011年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2010年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
|
研究概要 |
被子植物に見られる重複受精のしくみは複雑であるが,元は基部陸上植物の生殖機構に近いものから進化したと考えられる。従って,陸上植物に共通する配偶子認識・融合のしくみを理解するために,基部陸上植物ゼニゴケは有用なモデルとなりうると考えた。 精子が卵に到達・融合するには,精子細胞膜に存在する膜タンパク質が重要である。そこで,ゼニゴケ精子特異的に発現する膜タンパク質遺伝子を探索するため,まず次世代シーケンサを用いて約60万リードの雄器床由来ESTを取得した。これまでに得た葉状体や受精前後の雌器床などに由来する約250万リードのESTとの比較および整列化により,雄器床由来ESTのみに存在する4,099配列を得た。これらのうち,37配列は他生物種の膜タンパク質と相同性を示し,かつ推定膜貫通ドメインを有していた。これらのうち,少なくとも10配列は実際に雄器床特異的に発現していることをRT-PCRにより確認した。米国Joint Genome Instituteとのゲノムプロジェクトで予備的なゲノム情報が利用可能となり,推定膜貫通ドメインをもつ他の配列についても同様に解析している。さらに,ゼニゴケ精子が卵そのものではなく,造卵器基部に強く誘引されることを見いだし,精子誘引実験系として利用できるようになった。また,Kイオンに対する走化性をもつという古い報告があったが,その再現性も確認した。最近可能となったゼニゴケ遺伝子破壊系と併せて,精子膜タンパク質遺伝子の機能解析を行っている。
|