公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
蛇紋岩はかんらん岩に比べ著しく遅い弾性波速度や高いポアソン比を持つため,沈み込み帯でみられる地震波低速度層や高ポアソン比領域の原因として注目されている。しかしながら,関東下や西南日本のプレート境界で報告されるポアソン比~0.31は,蛇紋岩(アンチゴライト0.28)の存在だけでは説明がつかず,その領域には蛇紋岩に加え流体が共存している可能性が高い。そこで,本研究では間隙流体圧下における弾性波速度の測定システムの開発を行い,蛇紋岩の弾性波速度に対する間隙水圧の効果を定量的に検証することを試みた。実験結果より,間隙水圧を上昇させると蛇紋岩の弾性波速度は遅くなり,ポアソン比は高くなることが分かったが,その変化幅は非常に小さい。間隙水圧を10MPaから100MPaに変化させた場合,ポアソン比は0.278から0.281に上昇し,その変化幅は0.003である。沈み込み帯でみられる高ポアソン比領域は0.31であることから,蛇紋岩に比べ約0.03のポアソン比の上昇が必要であるが,今回測定したような空隙率の低い蛇紋岩ではいくら間隙水圧を増加させてもそのような高ポアソン比を発生することは難しい。このことは,沈み込み帯でみられる高ポアソン比領域では,岩石が破壊することにより空隙率が上昇し,そのような空隙を流体が充填しポアソン比が異常に高くなっていると予想される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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