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Zymomonas mobilis呼吸鎖の解析と高エタノール発酵株育種への応用

研究課題

研究課題/領域番号 25850059
研究種目

若手研究(B)

配分区分基金
研究分野 応用微生物学
研究機関別府大学

研究代表者

林 毅  別府大学, 食物栄養科学部, 准教授 (40399811)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
研究課題ステータス 中途終了 (2015年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2015年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2014年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2013年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードZymomonas mobilis / 呼吸鎖 / エタノール発酵 / プロテオーム解析 / NADH/NAD+
研究実績の概要

本研究課題はエタノール発酵細菌Zymomonas mobilisの呼吸鎖の呼吸以外の新規生理機能を明らかにするものである。前年度までにこの呼吸鎖が塩耐性にかかわっていることを初めて明らかにすることができた。さらにメカニズムとして、この呼吸鎖は細胞内の酸化還元バランス(NAD+とNADHのバランス)の維持に寄与していることを証明し、論文として発表した。しかしながらここで新たな疑問が生じた。すなわちZ. mobilisはリュウゼツランという植物の蜜から単離された微生物であり海洋性微生物ではないため、NaClやKClなどの塩を含んだ環境にさらされることは、通常ではありえない。つまりこの呼吸鎖には、まだ別の重要な生理機能を有する可能性が強く示唆された。そこでこれまでの解析では電子伝達酵素(複合体Iや末端酸化酵素)を中心に解析していたが、呼吸鎖の最も重要な部分はATPを合成する(Z. mobilisの場合は分解)複合体Vであるとも考えられるため、複合体Vに関して解析を試みた。先ず複合体Vの遺伝子欠損株の取得を行うために、複合体V中で最も重要な構成因子であるベータサブユニット(ATP合成酵素サブユニット)の破壊を目指した。同時に、最近複合体Vのベータサブユニットが細胞内で比較的多くタンパク質発現しているとの報告がなされたため、二次元電気泳動により細胞内可溶性タンパク質を高精度に分離し、その中で複合体Vのベータサブユニットの特定を試みた。その結果、破壊株の取得は現在進行中であるが、二次元電気泳動のゲル上におけるベータサブユニットの同定には成功した。今後は二次元電気泳動を用いたベータサブユニットの発現プロファイルの解析と破壊株の表現型を評価することで、複合体Vの機能の解析、ひいてはZ. mobilis呼吸鎖の未知生理機能の解明を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Z. mobilis呼吸鎖経路の完全解明による未知生理機能の解明に関しては立ち遅れている。しかしながら異なる切り口で解析を進めた結果、当初の目標であったZ. mobilis呼吸鎖の未知生理機能に関して明らかにすることができた。すなわちNaClやKCl等の塩に対する耐性能の付与に関与しており、そのメカニズムとしては細胞内の酸化還元バランスの維持に関与していることを証明した。成果として、イギリスの微生物学の専門誌であるMicrobiologyに論文発表することができた。以上で概ね目標を達成出来たと思われたが、解析の過程でそれ以上に重要な生理機能の存在が強く示唆されたため、3年の研究計画を1年延長させて頂くこととした。解析の基盤技術は今年度で概ね整備できたため、最終年度で呼吸鎖の未知なる生理機能の解明を行いたい。

今後の研究の推進方策

Z. mobilisのさらなる重要な未知生理機能を明らかにするために、これまで対象としていた電子伝達酵素(複合体Iや末端酸化酵素)ではなく、呼吸鎖の最も重要な部分ともいえる複合体V(ATP合成酵素複合体)にターゲットを絞る。これまでZ. mobilisの複合体Vは通常とは逆のATPをADPへ加水分解しているという報告がある。この現象をより詳しく観察するために、先ず前年度に確立した二次元電気泳動により、複合体Vのベータサブユニット(ATP合成酵素サブユニット)のタンパク質の発現を様々な条件(例えば好気や嫌気、静置など)で解析する。さらに複合体Vの酵素活性欠損株の取得し、同時に表現型を評価する。これらのデータを元にZ. mobilis呼吸鎖の未知生理機能のための研究を展開する。

次年度使用額の使用計画

遺伝子破壊株の作製を行うために、それに必要な酵素類(制限酵素、DNA相同組換え用酵素等)を購入したい。またプロテオーム解析を行うため、二次元電気泳動関係の消耗試薬(IPGストリップ、タンパク質抽出バッファー等)やタンパク質同定に必要なプロテインシーケンサーの消耗試薬を購入したい。

報告書

(3件)
  • 2015 実施状況報告書
  • 2014 実施状況報告書
  • 2013 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2016 2015 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] The respiratory chain provides salt stress tolerance by maintaining a low NADH/NAD+ ratio in Zymomonas mobilis.2015

    • 著者名/発表者名
      Hayashi T, Kato T, Watakabe S, Song W, Aikawa S, Furukawa K
    • 雑誌名

      Microbiology

      巻: 12 号: 12 ページ: 2384-2394

    • DOI

      10.1099/mic.0.000195

    • 関連する報告書
      2015 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Structural and genomic DNA analysis of the putative TetR transcriptional repressor SCO7518 from Streptomyces coelicolor A3(2)2014

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Hayashi, Yoshikazu Tanaka, Naoki Sakai, Ui Okada, Min Yao, Nobuhisa Watanabe, Tomohiro Tamura, and Isao Tanaka
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: 588 号: 23 ページ: 4311-4318

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2014.09.037

    • 関連する報告書
      2014 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Zymomonas mobilisの呼吸鎖の塩耐性への関与に関する解析2016

    • 著者名/発表者名
      加藤剛士, 渡壁理, 宋原準, 相川靖穂, 林毅
    • 学会等名
      日本農芸化学会2016年度大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-03-28
    • 関連する報告書
      2015 実施状況報告書
  • [学会発表] Zymomonas mobilis呼吸鎖の新規生理機能の解析2015

    • 著者名/発表者名
      林毅
    • 学会等名
      微生物学の新たな発展、ゲノムから機能・実用に関する九州シンポジウム
    • 発表場所
      ANAホリデイ・イン リゾート 宮崎
    • 年月日
      2015-12-06
    • 関連する報告書
      2015 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 呼吸鎖の新規生理機能の解析:Zymomonas mobilisの呼吸鎖は低NADH/NAD+比の維持により塩耐性を付与している2015

    • 著者名/発表者名
      加藤剛士, 渡壁理, 宋原準, 相川靖穂, 林毅
    • 学会等名
      第67回 日本生物工学会
    • 発表場所
      城山観光ホテル
    • 年月日
      2015-10-26
    • 関連する報告書
      2015 実施状況報告書
  • [学会発表] 呼吸鎖の新規生理機能の解析:Zymomonas mobilisの呼吸鎖は低NADH/NAD+比の維持により塩耐性を付与している2015

    • 著者名/発表者名
      林毅
    • 学会等名
      第39回 蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム
    • 発表場所
      別府 豊泉荘
    • 年月日
      2015-09-10
    • 関連する報告書
      2015 実施状況報告書
  • [学会発表] エタノール生産細菌Zymomonas mobilis 呼吸鎖の塩ストレス耐性への関与に関する研究2015

    • 著者名/発表者名
      林 毅,村田奈己、関村光平,下郡光貴,杉田翔
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-03-24 – 2015-03-26
    • 関連する報告書
      2014 実施状況報告書
  • [学会発表] Zymomonas mobilis呼吸鎖の新規生理機能の探索および解析~呼吸鎖が浸透圧耐性に関与している可能性~2014

    • 著者名/発表者名
      林 毅
    • 学会等名
      蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム
    • 発表場所
      レイクサイドホテル久山
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
    • 関連する報告書
      2014 実施状況報告書
  • [学会発表] Zymomonas mobilis の呼吸鎖とエタノール生産との関係性に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      林 毅
    • 学会等名
      食品科学教育協議会
    • 発表場所
      大阪弥生会館
    • 年月日
      2014-04-19
    • 関連する報告書
      2014 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Zymomonas mobilisのクエン酸回路の補完によるエタノール生産能の評価2013

    • 著者名/発表者名
      加藤剛士,相川靖穂,上園愛,宋原準,林毅
    • 学会等名
      蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム
    • 発表場所
      ゆやど雲仙新湯(長崎)
    • 関連する報告書
      2013 実施状況報告書
  • [学会発表] 呼吸欠損Zymomonas mobilisの高エタノール生産メカニズムの研究2013

    • 著者名/発表者名
      林毅
    • 学会等名
      日本農芸化学会西日本支部例会
    • 発表場所
      札幌ビール九州日田工場(大分)
    • 関連する報告書
      2013 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Zymomonas mobilisにおけるクエン酸回路欠損遺伝子がエタノール生産に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      加藤剛士,林毅
    • 学会等名
      日本生物工学会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島)
    • 関連する報告書
      2013 実施状況報告書
  • [学会発表] Zymomonas mobilis呼吸欠損変異株の呼吸鎖変異と高エタノール生産の関係性の研究2013

    • 著者名/発表者名
      加藤剛士,林毅
    • 学会等名
      日本生物工学会若手研究者の集い
    • 発表場所
      シーガイアコンベンションセンター(宮崎)
    • 関連する報告書
      2013 実施状況報告書

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公開日: 2014-07-25   更新日: 2019-07-29  

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