研究概要 |
近年、様々な報告から内因性カンナビノイドとてんかんの関連が示唆されている。一方、アセトアミノフェン(以下、ACAP)の代謝産物であるAM404は、間接的にCB1受容体を活性化させると報告されている。そこで本研究では, ACAPの抗痙攣作用について検討を行った。 前年度の助成によって我々は、マウスにおいてACAPが角膜電気刺激キンドリングのけいれん発作を有意に抑制し、さらにその抗けいれん作用はCB1受容体アンタゴニスであるSR141716の前投与で消失することを明らかにした。そこで本年度の研究では、ACAPによる抗けいれん作用が認められた角膜電気刺激キンドリングモデルにおけるCB1受容体の発現量について検討を行った。実験には角膜電気刺激を繰り返し行い、けいれん準備性を獲得させたマウスを使用した。Western Blotting法にて、マウスの脳の皮質、海馬各部位のCB1受容体タンパクの発現について、CB1受容体タンパクとGAPDHタンパクの比を用いて定量的な評価を行った。角膜電気刺激キンドリングマウスは通常のマウスと比べ、皮質、海馬いずれの部位においてもCB1受容体発現の増加がみられた。以上の結果から、繰り返しの角膜電気刺激によって脳内のCB1受容体が増加すること、そして、角膜電気刺激キンドリングモデルのけいれん誘発のメカニズムには、CB1受容体の増加が関与していることが示唆された。
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