研究概要 |
フェノールの界面電子移動を規制して、分子量が均一で結晶性などの物性に優れたポリフェニレンエーテルを効率よく合成する基礎知見を得ることが研究目的である。 1.一定の界面電子移動条件下でフェノールの重合を実施、ポリフェニレンエーテルの収率、分子量に及ぼす合成条件を広く検討した。臭素やアルコールが電極界面での電子移動媒体として働き、高い電流効率で分子量1万以上のポリマーが生成することを見い出した。ビスフェノールなど2官能性フェノール共存下の重合では、両末端に水酸基構造をもつポリフェニレンエーテルが生成した。またトリメチルシリル基を有するフェノールからも、対応するポリフェニレンエーテルが得られた。 2.構造が直鎖の1,4-フェニレン型であることを、モデル物質を参照とした【^1H】-,【^(13)C】-NMR,FT-IR,DSC測定より確認した。界面電子移動過程の電気化学計測より、電極界面拡散層内でのラジカルまたはラジカルカチオンを経る重合機構を明らかにするとともに、これが構造規制されたポリフェニレンエーテル生成の原因であることを示した。 3.易動性水素を有する一連の化合物を対象とした重合を実施、各化合物に対応した電子移動の電位設定、電極不導化回避のための溶媒選定など、ポリマーを得る条件を明らかにした。シクロヘキサジエンからポリ(1,4-シクロヘキサジエン),Ρ-ジメトキシベンゼンからポリ(2,5-ジメトキシ-1,4-フェニレン)が効率良く生成することを見い出した。 以上より、本重合の機構を界面電子移動過程に関連させて整理し、新規な芳香族ポリマーの合成法として確立した。
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