配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1985年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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研究概要 |
体内で確実に必要な酸素量を輸送できる人工酸素運搬系を, ヘム包理高分子集合体を利用し, 毒性, 抗原性を回避して可能にしようとするのが本研究の目的である. 人工赤血球溶液の実用化を目指した最終段階の基礎的な試験研究である. 1 リピドヘムと高分子化脂質を主成分とする, ヘム包理高分子集合体系高濃度溶液の大量合成を実施. 2 小胞体粒径400Aφ, 形態安定で長期保存可能, かつ溶液物性を血液類似に調節し, 血中投与ができるよう系を構築した. 3 この系の酸素結合特性を直接のスペクトル測定から解析(酸素親和性:30-40 torr, 寿命:1日異常). 4 高速スベクトル測定から血液との混合系において, 人工系から赤血球へ迅速(0.1秒以上)かつ底量的(平衡値に対応)な酸素移行を確認. 5 血液成分やマクロファージとの相互作用を各種物理化学測定より解析. 通常の病理学的試験法では陰性(-), 大量接触では血球膜機能に影響(凝集)する場合がある. 貧食取り込みは大量混合系でも無視できる. 6 液-液型人工肺を用いて低酸素血液について酸素化を実施, 酸素供給効率, 炭酸ガス除去効率ともにきわめて効率が高い. これは人工系から赤血球へ酸素が確実に移行することを示す結果である. 7 イヌ腎灌流試験では, ヘム包埋高分子集合体の酸素供給による腎の正常作動や尿の正常排せつを観測, また, ウサギ腹腔投与試験からは腹膜毛管経由による酸素供給に基づく低酸素症状の回復を観測した. これは酸素供給媒体や臓器保存液としての可能性を示す. 8 小動物に全血液量の3/4まで交換注入した後, 経時変化から血中滞留時間を決定した. 数時間以上の滞留半減期をもつ集合体組成を詳細に検討し, 一定時間内有効に酸素運搬できる系を決定した.
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