木材学会誌
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カテゴリーI
超臨界二酸化炭素雰囲気下で製造された熱処理木材の評価
松永 正弘 片岡 厚松永 浩史石川 敦子小林 正彦木口 実
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2016 年 62 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

本研究では超臨界二酸化炭素を用いた新規熱処理法について検討を行った。実験にはスギ心材試片を用いた。試片を三種類の異なる含水率(0%,11%,17%)に調整し,超臨界二酸化炭素中で熱処理を行った。その結果,処理温度と試片含水率が高くなるに従って熱処理試片の質量減少率と抗膨潤能(ASE)は増加し,ASEは最大で約70%に達した。対照的に,平衡含水率(EMC)は処理温度と試片含水率が高くなるに従って低下した。この結果から,高い処理温度と試片含水率が木材成分,特にヘミセルロースの熱分解を促進し,吸着点の減少をもたらしていることが示唆された。また,超臨界二酸化炭素中で熱処理された木材は,一般に行われている熱処理法と比較してより高い寸法安定性を示すことも明らかとなった。高圧下での熱処理では,試片中の水分の反応性が高まり,木材成分の熱分解を促進している可能性が考えられる。

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© 2016 一般社団法人 日本木材学会
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