Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
18H05458
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
東 俊行 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70212529)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一戸 悠人 立教大学, 理学部, 助教 (30792519)
山田 真也 立教大学, 理学部, 准教授 (40612073)
渡辺 伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (60446599)
馬場 彩 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70392082)
井上 芳幸 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70733989)
池戸 豊 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 先任技師 (90415050)
岡田 信二 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 協力研究員 (70391901)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥174,330,000 (Direct Cost: ¥134,100,000、Indirect Cost: ¥40,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥24,440,000 (Direct Cost: ¥18,800,000、Indirect Cost: ¥5,640,000)
Fiscal Year 2021: ¥44,720,000 (Direct Cost: ¥34,400,000、Indirect Cost: ¥10,320,000)
Fiscal Year 2020: ¥53,300,000 (Direct Cost: ¥41,000,000、Indirect Cost: ¥12,300,000)
Fiscal Year 2019: ¥31,070,000 (Direct Cost: ¥23,900,000、Indirect Cost: ¥7,170,000)
Fiscal Year 2018: ¥20,800,000 (Direct Cost: ¥16,000,000、Indirect Cost: ¥4,800,000)
|
Keywords | 量子ビーム / 負ミュオン / X線検出器 / ガンマ線検出器 / 超伝導X線検出器 / 量子電磁力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画研究の当初目標は、真空中に孤立したミュオン原子から放出されるミュオン特性X線を超伝導カロリメータを導入して精密分光し、ミュオン原子のエネルギー 準位に現れる量子電磁力学(QED)効果を実験的に初めて明らかにすることであった。実績として当初の目標通りに強電場下のQED検証結果を得ることができた。
2021年度は、ミュオン誘起電子特性X線の観測を、鉄だけでなく他の金属や酸化物すなわち銅、酸化鉄、酸化銅に適用し、物質の特性を反映したスペクトルが得られるかを検証した。さらに、ガス中の孤立標的としてArを対象とし、ミュオンAr原子から放出される電子特性X線測定から、ミュオンや電子の配置やダイナミクスに関する情報を得た。その結果、数個の束縛電子、負ミュオン、および原子核で構成される少数量子多体系を見出した。この系は、原子核近傍に位置する負ミュオンによって原子核が遮蔽されたHe様 (束縛電子2個)、Li様(束縛電子3個)等のエキゾチック多価イオンとみなしうる。本計画研究のもう一つの柱である宇宙物理との接点という観点から、本研究で得られた負ミュオンを利用したHe様エキゾチック多価イオンスペクトルと、X線衛星が観測対象としている宇宙プラズマ中のHe様 Feイオンなどのスペクトルを比較することで、脱励起過程や励起準位寿命を反映した相補的な情報が得られることが明らかになった。
今後の実験に導入を予定している高エネルギーX線に対応する多素子カロリメータの開発は、専門的知識を有する研究協力者の転出に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響に伴って研究協力機関における外部からの研究者の受入制限により、新読み出し系に対応した硬X線用検出器開発に遅延が生じた。しかし、そのような状況下でも、装置全体の組み上げテストには至らないもの進展が見られ、カロリメータ本体の製作は着実に進んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通りに強電場下のQED検証結果を得ることができたこと、加えて、固体鉄薄膜標的中で生成されたミュオンFe原子からの放出される電子特性X線のスぺクトルから数10フェムト秒の短時間において時々刻々と変化するミュオンや 電子のダイナミクスを捉えたのに引き続き、新たに、数個の束縛電子、負ミュオン、および原子核で構成される少数量子多体系としてのエキゾチック多価イオンの発見に至った。
コロナ禍による高エネルギーX線に対応する多素子カロリメータの開発の遅れは避けがたいが、カロリメータ本体の製作は進みにした目処がついた。 よって今年度も、計画通りの成果や複数の予想外の展開が得られたことと、カロリメータ製作に着実な進展があったを考慮に入れて、ほぼ順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
高エネルギーX線用TES型超伝導カロリメータ開発が順調に進むことを期待する。
その間に既存のTESカロリメータを利用して、今までミュオン原子を対象としていたが、次はミュオン分子からの脱励起ミュオンX線の観測を予定している。重水素D2固体標的中に、ddμというエキゾチック2原子分子イオンを生成する。ここで得られる分子系特有の振動分光スペクトルでは、ミュオンの質量を反映してボルン・オッペンハイマー近似の破れが明瞭に観測されると予想される。
|