Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 幸則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (00393421)
Patrick Strasser 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (20342834)
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10222035)
原 正憲 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (00334714)
波多野 雄治 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80218487)
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Budget Amount *help |
¥144,950,000 (Direct Cost: ¥111,500,000、Indirect Cost: ¥33,450,000)
Fiscal Year 2022: ¥35,620,000 (Direct Cost: ¥27,400,000、Indirect Cost: ¥8,220,000)
Fiscal Year 2021: ¥31,460,000 (Direct Cost: ¥24,200,000、Indirect Cost: ¥7,260,000)
Fiscal Year 2020: ¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2019: ¥20,540,000 (Direct Cost: ¥15,800,000、Indirect Cost: ¥4,740,000)
Fiscal Year 2018: ¥39,650,000 (Direct Cost: ¥30,500,000、Indirect Cost: ¥9,150,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
加速器で得られる負ミュオンビームは、大強度だが収束に難がある。そこで、加速器で得られる大強度負ミュオンを冷却し、数10ナノメートル径まで収束可能な超低速負ミュオンビームを開発し、収束負ミュオンビームの走査(偏向器によるXY走査、およびエネルギー走査による打ち込み深さの走査)により、物質表面の元素分布・同位体分布や化学結合分布を、非破壊、極めて高い感度、3次元、かつ数10ナノメートルの分解能(深さ方向は数ナノメートル分解能)で可視化する革命的な分析顕微鏡となる走査負ミュオン顕微鏡の創出に挑戦するに至った。 当初、極低温の固体重水素ターゲットに負ミュオンを照射するミュオン触媒核融合実験を実施し、中性子等の観測により実際にミュオン触媒核融合反応を確認し、更に、超低速化されたミュオンの検出にも成功した。しかし、放射線申請に時間がかかり、且つ、1年に1回の申請しか認められないという制約の中で、J-PARCでは、トリチウムの使用の許可が今後、数年間は下りない事が裁定された。止むを得ず、トリチウムを使用しないで、取り出した減速負ミュオンを多層の薄膜を用いて摩擦冷却し、輝度の高い超低速負ミュオンビームへと変換するビーム冷却装置を開発することに舵を切った。 紆余曲折はあったものの、0.5mm厚のBe板を減速材標的として使用し、運動量27.5MeV/cを選択し、摩擦冷却で発生した3.5kV, 5kV, 7kVの超低速負ミュオンを同軸管による輸送する原理検証実験に成功した。更に、最終実験として、厚さ20~30nmの窒化ケイ素の冷却薄膜を作製し、メッシュ電極に装着し、10keVの超低速ミュオンを取り出すだけでなく、収束させることにも成功した。最重要な基本原理検証ができたので、今後、予算があれば、夢の超低速負ミュオン走査顕微鏡を実現できるものと考えられる。
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