Project Area | Post-Koch Ecology: The next-era microbial ecology that elucidates the super-terrestrial organism system |
Project/Area Number |
19H05681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
重藤 真介 関西学院大学, 理学部, 教授 (10756696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 宗翰 関西学院大学, 理工学研究科, 助教 (10825475)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥93,730,000 (Direct Cost: ¥72,100,000、Indirect Cost: ¥21,630,000)
Fiscal Year 2023: ¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2022: ¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2021: ¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2020: ¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2019: ¥26,650,000 (Direct Cost: ¥20,500,000、Indirect Cost: ¥6,150,000)
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Keywords | 機械学習 / 微生物識別 / 土壌微生物 / シングルセル解析 / スペクトルビッグデータ / 顕微ラマン分光 / 高密度培養デバイス / アーキア / 分光ビッグデータ / シングルセルラマンデータ / ゲル充填マイクロウェルアレイ / メタン生成アーキア / 微生物分類 / 光ピンセット / マイクロゲルウェル培養デバイス / ポストコッホ微生物分離装置 / ラマンビッグデータ / 共鳴ラマン効果 |
Outline of Research at the Start |
自発ラマンスペクトルおよび自家蛍光スペクトルを利用し、それら分子スペクトルを様々な測定条件(励起レーザー波長、表面/チップ増強、安定同位体標識)、外的摂動(温度変化、pH変化、電場印加、施肥を反映した栄養源、化学物質添加、酸素濃度変化など)の下で取得することによって、複合微生物系の分光データを超高次元化する。得られた分光ビッグデータをもとに、領域内の研究者と緊密に連携して情報学における最新のデータマイニング・機械学習技術を利用することで複合微生物を網羅的にプロファイリングし、それらの属種と生理的機能(代謝)の判別を可能にするポストコッホ技術を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、地球上の微生物の99%以上を占める未分離・未解明な微生物の種と機能を解析するための革新的な「ポストコッホ微生物分離装置」を開発することを目的とする。そのために、ラマン/自家蛍光スペクトルからなる分光ビッグデータを機械学習などの人工知能技術により解析し、環境中の多様な微生物を網羅的にプロファイリングする技術の確立を目指す。具体的には、(1)1細胞ラマンデータの機械学習による微生物種の高精度識別法の開発、(2)ゲル充填マイクロウェルアレイを用いた微生物培養と顕微ラマン分光の融合、(3)ラマン分光による研究例の少ないアーキアや希少放線菌、環境汚染物質分解菌などの微生物を対象とした「ラマンマーカー」の探索、(4)波長可変レーザーを光源とした多波長励起顕微ラマン分光装置の開発、などを柱として研究を進めている。2022年度の各項目の主な研究成果は以下の通りである。 (1)対象とする微生物(バクテリアおよびアーキア)の種数を増やし、生理状態(誘導期、対数増殖期、定常期)の違いが種識別に与える影響の解明、およびバクテリアとアーキアの高精度な二項分類器の構築を行った。 (2)ゲル充填マイクロウェルアレイデバイスで培養した実土壌試料中の微生物のDNAシーケンシングを行い、種の同定を行った。得られた情報を各微生物細胞のラマンスペクトルと対応付けることに成功した。 (3)希少放線菌Actinoplanes missouriensisの胞子嚢のマルチプレックスCARSイメージングを行い、典型的なリン脂質やトリアシルグリセロールとは異なる特徴的なラマンスペクトルを示す成分が存在することを示した。 (4)代表的な光合成細菌のコロニーを5つの励起波長(488, 514, 532, 561, 594 nm)で測定し、カロテノイドのラマンおよびクロロフィルの蛍光が顕著に変化する様子を観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1細胞ラマンデータの機械学習に関しては継続的な進展があった。とくに、異なる生理状態の細胞のラマンデータが微生物種識別に与える影響を詳細に調べた研究では、2つの生理状態のデータを学習したモデルの識別精度が1つの場合と比べて格段に向上することを示し、ラマンスペクトルに基づく微生物種識別における重要な知見を得ることができた。 原油に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)の一種であるピレンを分解する細菌のコンソーシアムにおいて、重水素ラベルと顕微ラマン分光を用いることで、菌同士の相互作用によるピレン分解促進を1細胞レベルで検出することに成功した点も今年度の特筆すべき成果である。 分光測定を高速化し解析のスループットを向上させるために取り組んでいる非線形光学過程の利用に関しても「大きな前進」と「予想外の展開」があった。前者は、すでに完成していたマルチプレックスCARSに加えて、第二・第三高調波発生(SHG, THG)、3次和周波発生(TSFG)などを同時に観測するための光学系を構築した点である。後者は、マルチプレックスCARS顕微鏡を、当初の研究計画には含まれていなかったアーバスキュラー菌根菌に応用し、多くの予備的成果が得られた点である。この研究は菌根菌と植物の共生メカニズムの分子レベル解明に資すると考えられ、リン酸減肥や土壌による炭素固定などの技術への波及効果が期待できる。 以上より、年度途中で研究分担者の異動があったものの、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは主に培養された(モデル)微生物のラマンデータと教師あり学習を用いていたが、モデル圃場を始めとする実環境試料中の未知微生物に応用するため、情報学の専門家からなる計画班・公募班との連携を強化しながら、半教師あり学習などの手法を導入する。2022年度に大きな進展があった、非線形分光顕微鏡を用いた微生物細胞のマルチモーダルイメージングをさらに推進し、希少放線菌A. missouriensisの胞子嚢壁の未知構成成分の解明、アーバスキュラー菌根における物質の受け渡しの可視化など、基礎・応用両面で重要な新規知見の獲得を目指す。
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