Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
19H05770
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
藤代 瞳 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10389182)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥63,180,000 (Direct Cost: ¥48,600,000、Indirect Cost: ¥14,580,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2020: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2019: ¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
|
Keywords | 有害金属 / 腎臓 / 近位尿細管 / 元素イメージング / カドミウム / マンガン / ZIP8 / シスプラチン / 輸送 / フェロトーシス / 金属 / 金属含有医薬品 / 生命金属 / 腎障害 / 組織内分布 / 毒性 / 攪乱 / 分布 / 変異 / SNP / エンドサイトーシス / イメージング |
Outline of Research at the Start |
本研究は、in vivoとin vitroの両面から、近位尿細管における有害金属の輸送と毒性発現の機構、および、生命金属の調節機構を明らかにすることを目的とする。近位尿細管の部位ごとの方向性を持った輸送や毒性発現のメカニズムを解明するためには、培養細胞を用いた検討が適しているため、trans-wellを使用することで、血管側、および、管腔側からの取り込みや排泄を解析する。一方、in vivo元素イメージングなどを活用し、生命金属が腎臓の各部位にどのように分布し、経時的、濃度依存的にどのように変化するのか、その動態を明らかにし、腎障害マーカーの部位特異的発現パターンとの比較検討を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチン(CDDP)による近位尿細管S3領域特異的障害機構を解明するため、マウス近位尿細管S1, S2, S3領域由来不死化細胞を用いて検討した。S3細胞のCDDP高感受性の原因を明らかにするため、活性酸素種(ROS)の関与を検討した。CDDPを添加後の細胞内ROS産生量は、S1, S2細胞と比べてS3細胞で顕著に高かった。また、抗酸化剤であるTroloxによりS3細胞におけるCDDPによる細胞毒性が抑制されたため、S3細胞のCDDP高感受性にROSが関与していることが示唆された。S3細胞で、細胞内遊離Fe2+量がS1, S2細胞よりも高値を示し、フェントン反応を介して酸化力の高いヒドロキシラジカルを産生しやすい環境にあることがわかった。CDDP曝露後の抗酸化タンパク質のTrx, TrxR発現量が、S3細胞においてのみ低下した。一方、CDDP曝露後の過酸化脂質量を調べた結果、S3細胞の過酸化脂質量が著しく高かった。以上の結果から、CDDPに対するS3細胞高感受性には、ROS産生およびROSによる過酸化脂質の酸化が関与し、S3細胞はCDDPによるフェロトーシスが誘発されやすい環境であることが示唆された。 Mn輸送体のZIP8の役割を検討した。Znしか輸送しない多くのZIPは、Zn結合サイトとしてTMD5にHHXPHEモチーフを有するが、Zn以外にMn、Cdも輸送可能なZIP8、ZIP14はHEXPHEとなっていることに着目し、H-HペアがZnのみ、E-HペアがZnだけでなくMn、Cdにも親和性を示すのではないかと予測した。そこで、MDCK細胞を用いて野生型hZIP8(E343),変異型(E343H),(E343A)発現細胞を作成し、Mn、Cd、Zn取り込み効率を検討した結果、Mn、Cd、Znの取り込み効率がどちらの変異体でも顕著に低下することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス近位尿細管由来細胞を用いてCDDPの近位尿細管S3領域高感受性原因を検討した結果、S3細胞ではCDDPによるフェロトーシスが誘発されやすい環境であることを見出した。引き続き詳細な機構の解明を目指す必要がある。 また、CDDPやCdの腎臓内分布と毒性発現との関与について元素イメージングを用いて解析しているが、LA-ICP-MSに加えて、PIXIによる腎臓内CdおよびPtイメージング、microXAFS(Spring8)による検討も開始した。近位尿細管領域特異的細胞におけるCdおよびPtイメージングによりさらに細胞内Cd, Pt局在を詳細に解析していく。 Mn輸送体のZIP8の立体構造は解明されていないため、疾患と関わるZIP8の変異やMn輸送に重要であるアミノ酸E343の金属輸送における役割を解析したが、この変異によるZIP8の構造変化が重要であるため、構造予測の検討を開始。E343以外にもZIP8およびZIP14に特異的なアミノ酸や、日本で発見されたMn代謝異常症の患者に変異が見られるアミノ酸の役割も今後検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス近位尿細管由来細胞を用いてCDDPの近位尿細管S3領域高感受性原因を検討した結果、S3細胞ではCDDPによるフェロトーシスが誘発されやすい環境であることを見出した。引き続き詳細な機構の解明を目指す必要がある。 また、CDDPやCdの腎臓内分布と毒性発現との関与について元素イメージングを用いて解析しているが、LA-ICP-MSに加えて、PIXIによる腎臓内CdおよびPtイメージング、microXAFS(Spring8)による検討も開始した。近位尿細管領域特異的細胞におけるCdおよびPtイメージングによりさらに細胞内Cd, Pt局在を詳細に解析していく。 Mn輸送体のZIP8の立体構造は解明されていないため、疾患と関わるZIP8の変異やMn輸送に重要であるアミノ酸E343の金属輸送における役割を解析したが、この変異によるZIP8の構造変化が重要であるため、構造予測の検討を開始。E343以外にもZIP8およびZIP14に特異的なアミノ酸や、日本で発見されたMn代謝異常症の患者に変異が見られるアミノ酸の役割も今後検討する必要がある。
|