Project Area | Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society |
Project/Area Number |
20H05802
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
月浦 崇 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30344112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 竜平 京都大学, 人と社会の未来研究院, 助教 (40869434)
朴 白順 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (50623550)
藤原 広臨 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10599608)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥84,630,000 (Direct Cost: ¥65,100,000、Indirect Cost: ¥19,530,000)
Fiscal Year 2024: ¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2023: ¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2022: ¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2021: ¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
Fiscal Year 2020: ¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
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Keywords | 記憶 / 加齢 / 環境 / 非侵襲的脳機能画像計測 / 神経心理学 / 社会的文脈 / 感情 / 非侵襲的脳画像計測 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画では、ヒト記憶の加齢による経年変化を脳の器質的変化だけで説明するのではなく、他者との社会的関係性や生活習慣などの外部環境や、身体状態や感情などの内部環境との相互作用の中で、どのように脳内メカニズムが可塑的に変化するのかの視点から解明することを目的とする。その目的を達成するために、本研究では健常若年成人と健常高齢者を対象とした脳画像研究と、神経疾患患者を対象とした行動学的研究の2つの異なるアプローチを融合して研究を進める。本研究を通して、高齢者においても記憶機能を維持・向上させることが可能であることを科学的に証明し、従来の加齢観を刷新して高齢者の新たな可能性を証明することをめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの記憶の加齢による経年変化を脳の器質的変化だけで説明するのではなく、社会的文脈や感情との相互作用の中で、どのように脳内メカニズムが可塑的に変化するのかの視点から解明することを目的とする。その目的を達成するために、本研究では健常若年成人と健常高齢者を対象とした脳機能画像研究と、神経疾患患者を対象とした神経心理学的研究の2つのアプローチを融合して研究を進める。 fMRI研究では、顔と名前の連合記憶に対する表情の効果が、健常若年成人と健常高齢者との間でどのように異なるのかについて検証した。その結果、多変量賦活パターンによる解析(MVPA)において、表情や顔に由来する眼窩前頭皮質(OFC)や、顔に由来する社会的信号の処理に関連する後部上側頭溝領域(pSTS)における賦活パターンによって、健常若年成人も健常高齢者も有意に表情の違いを区別しているのに対し、紡錘状回顔領域(FFA)における賦活パターンによる表情の区別は、健常若年成人でのみ有意であることが示された。さらに、顔記憶に関連して、健常若年成人では海馬とFFAとの間の機能的結合性が有意であったのに対し、健常高齢者ではpSTSと海馬との間の機能的結合が有意であることが認められた。これらの結果から、表情の処理に関連するFFAの賦活は加齢に伴う脱分化を示している一方で、健常若年成人と健常高齢者との間で異なる機能的結合性は、加齢による代償機能を反映していることが示唆された。この成果は、Journal of Cognitive Neuroscience誌に発表された。 神経疾患例に対する神経心理学的研究では、びまん性軸索損傷(DAI)患者において認められた未来思考の障害と自伝的記憶の障害との関連についての成果を国際誌に投稿し、現在改稿中である。また、DAI患者における忘却の検証も行われ、その成果が国内学会で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
fMRI研究については、継続的に関連する成果が英文誌に発表されており、現在も投稿審査中の成果があることから、今後も着実な成果が得られると期待できる。神経疾患例を対象とした研究についても、DAI患者を対象とした研究プロジェクトが進められており、fMRI研究のデータと合わせて考察が進められている。現在、国際誌へ投稿した上で改稿審査中のプロジェクトもあることから、今後はその成果も十分に期待できる。 以上のことから、現在までの進捗状況としては、「(2)おおむね順調に進展している」と判断することが妥当であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
fMRI研究については、対象の社会的価値の予測と誤差が記憶に与える影響の基盤となる神経メカニズムとその加齢変化や、感情的なイベントを想像して記憶を記銘する神経メカニズムとその加齢変化についての研究など、当初に立てた計画に即して社会的文脈や感情が記憶に与える影響とその加齢変化の基盤となる神経メカニズムの研究を進めていく予定である。また、共同研究の枠組みの中でバーチャルリアリティの技術を用いた研究のパイロットスタディも始められており、当初の予定よりも発展させる形で研究が進行していくことが期待できる。神経疾患例を対象とした研究については、DAI患者を対象とした研究が国際誌に投稿・改稿中であり、国際誌に成果が発表されることが期待できる。今後は、現在進めているDAI患者における忘却に関する研究を国際誌へ投稿するだけでなく、DAI患者における推論過程の障害についての研究も進めていく予定である。
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