Project Area | Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society |
Project/Area Number |
20H05806
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 守恵 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 准教授 (10402752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山越 言 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00314253)
伏木 香織 大正大学, 文学部, 教授 (30436696)
座馬 耕一郎 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (50450234)
重田 眞義 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任教授 (80215962)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥56,160,000 (Direct Cost: ¥43,200,000、Indirect Cost: ¥12,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,570,000 (Direct Cost: ¥8,900,000、Indirect Cost: ¥2,670,000)
Fiscal Year 2021: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
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Keywords | 技能 / 身体技法 / 習熟 / 文化的発達 / 多元的な生涯観 / アジア / アフリカ / 職能集団 / 音楽 / 評価尺度 |
Outline of Research at the Start |
アジアやアフリカ大陸に暮らす技能集団が身体を通じて暗黙知を体得する過程に焦点を当て、担い手たちの1) 生物学的発達を示す行動調査、2) 身体技法の習熟度、 3) 発達段階の文化的制度化の相関性について精査し、文化人類学的な比較検証を行う。エチオピアの土器職人やインドネシアの音楽集団などを対象に、彼女/彼らの身体技法に注目して、それらの行動に必要な技能を獲得・熟練させる一連の過程を質的・量的な尺度で記録・分析し、それらが当該社会における発達段階とどのように関連しているのかを示す。これにより、多元的な発達過程を描き出すことが可能になり、「生涯学」がめざす従来の生涯観を刷新することに貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジアやアフリカのさまざまな地域において、技能集団が身体技法を習熟する過程(=技能を獲得・熟練させる一連の過程)を記述した上で、その過程と生物学的発達との相関性を検証しながら、多様な社会システムにおける文化的発達の制度化を描きだすことを目指す。観察データによって得られた身体動作(民族動作)と動作のつながり方の特質や、当事者や周囲のアクターによる技能の習熟や低下に対する理解の仕方および受け入れ方を検討したうえで、発達段階の文化的制度化について、文化人類学的な比較検証を行い、社会システムの多様性の解明を行う。これを介して、新たな発達観や人間観を提示することを目指す。 これまでの研究業績を、次の3点にまとめることができる。1)調査研究: 2023年度にはいり海外への調査渡航が新型コロナ感染症蔓延以前の状況に戻りつつあり、研究班のメンバーが長期調査に着手した。これに加えて、研究班のメンバーは、「ポジティブヘルス(Huber 2016: 10)」という概念にも注目して、オランダにて文献・資料調査等を行なうなど、アジアやアフリカの事例を、ヨーロッパでの取り組みもふまえながら把握することを試みた。学術交流:調査研究を進めていくのと並行して、計画班の研究会にて、メンバーの調査報告を共有したり、2023年度より採択された公募班の代表者を研究会に参加してもらい、多様な社会システムにおける文化的発達の制度化について議論を重ねた。3) 研究発信:領域内の他の班との合同研究会や「生涯学」領域会議に、本研究班のメンバーが参加発表して、最終年度に向けて準備している成果論集について研究発表をおこなった。助産学会若手研究者グループと連携して、サマーセミナーを共同開催したり、民間企業が主催するワークショップにて招待講演を行うなど、異分野や一般向けに成果発信を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この計画班では、新たな発達観や人間観を提示するために、次の3点にそってこれまでの研究の進捗状況をまとめる。1) 生物学的な変化と社会文化的な背景との関わりを検討:オランダにて問題提起された「ポジティブヘルス」という概念を参照しながら、アジアやアフリカに暮らす技能集団を対象にし、身体技法に注目しながら調査研究に取り組んだ。「ポジティブヘルス」とは、年齢を重ねることと関連して生じる社会的、身体的、感情的な問題に直面した時に適応し、自らがそれを管理する能力として健康(Huber 2016: 10)という概念として理解されているが、健康を(個人の)能力のひとつととらえる考え方の背景には、社会文化的な文脈を検討する必要があると考えられた。2) 技能の継承:音楽など表現に関わる技術の習得や継承は、社会文化的な背景に影響を受けている側面がある。調査研究では、スマートフォンによる録音や録画技術の進化と技術の浸透に伴い、地理的な空間を超えて地方や在来の音楽実践を楽しむことが可能になった。それと同時に、本計画班が対象にしている地域では、音楽など表現に関わる技能を学ぶ場は少なくなってきていることも明らかになった。年長者(経験者)と年少者(初学者)との間の技能の継承に関する課題についても議論を進めた。3) 成果発信:日本助産学若手研究者活躍推進委員会、京都大学アフリカ地域研究資料センター、東京外国語大学などと共催して、Global health and African Area Studiesというテーマで国際セミナーを開催した。本計画班の取り組みを、他分野にも発信する機会を創りだすことができた。これに加えて、民間企業が主催している技能についてのワークショップ(エルメススキル・アカデミー)にて、これまでの研究成果の一部を発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本計画班のメンバーによる成果の発信に向けて、次の3点に留意して研究を推進していく。1) 調査研究:生物学的な変化と社会文化的な背景との関わりについて、補足的な調査に取り組む。表現に関わる技能の習熟や継承に関わる課題について、現地での補足調査に加えて、インターネットなどSNSなどを活用したものについても検討する。ライフヒストリーという手法によって得られたデータを元に、調査地域に暮らす人々が、加齢による能力の変化(できることやできないこと)をどのように受けとめ、その変化をふまえてどのように技術に関わる活動に従事しているかを議論検討する。この議論を元に、論文集として刊行する際の論点を整理する。2) 学術交流:これまでと同様、研究班内の研究会を開催し、成果発信に向けてメンバー間で研究成果の共有を行う。さらには、計画班のメンバー自身が技能を習得している点にも留意して、習熟の過程を言語的に表現していく可能性と、言語化できない情報をいかに提示していくか、という点について議論を重ねる。2023年度に採択された公募班の代表者にも研究会に参加してもらい、発達段階の文化的制度化について議論を重ねる。領域内の他の計画班との交流につとめ、文化人類学班以外の学問分野から、発達段階の文化的制度化をどのようにとらえ、位置づけることができるかを検討する。それらをふまえた上で、多元的な生涯観について問題提起し、それを生涯学として創出する可能性と限界について議論を重ねる。3) 成果発信:計画班のメンバーを中心に、生存に関わる技法と表現に関わる技法の習熟について議論を重ねる。計画班のメンバーが見出した課題を整理して、それを元に成果論集の準備を進める。
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