Project Area | A New Archaeology Initiative to Elucidate the Formation Process of Chinese Civilization |
Project/Area Number |
20H05816
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 慎一 金沢大学, その他部局等, その他 (80237403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 由美子 京都大学, 総合博物館, 准教授 (50572749)
久米 正吾 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 特任助教 (30550777)
久保田 慎二 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部附属国際人文社会科学研究センター, 准教授 (00609901)
角道 亮介 駒澤大学, 文学部, 准教授 (00735227)
本多 貴之 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40409462)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥63,440,000 (Direct Cost: ¥48,800,000、Indirect Cost: ¥14,640,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,650,000 (Direct Cost: ¥10,500,000、Indirect Cost: ¥3,150,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,650,000 (Direct Cost: ¥10,500,000、Indirect Cost: ¥3,150,000)
Fiscal Year 2022: ¥14,820,000 (Direct Cost: ¥11,400,000、Indirect Cost: ¥3,420,000)
Fiscal Year 2021: ¥12,480,000 (Direct Cost: ¥9,600,000、Indirect Cost: ¥2,880,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
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Keywords | 中国文明起源 / 考古学 / 威信財 / プロト・シルクロード / 威信材 |
Outline of Research at the Start |
紀元前3千年紀後半の中国では、各地に地方文明が林立する状況が現出した。竜山、陶寺、老虎山、斉家、後石家河などがそれである。地方文明間では玉器、トルコ石、ワニ革太鼓、宝貝、漆器、象牙、水銀朱などが活発に交換された。これらの威信材について、遺物の網羅的集成と綿密な観察にもとづき、その時間的・空間的広がりの把握(=編年)を通じて、各器物の本来の起源地がどこであり、拡散の方向がどちら向きなのかを明らかにしていく。また、それらが最終的に初期青銅器時代の二里頭文化へと収斂していく過程を跡付ける。さらに、西方からの中国への文明要素の流入について、中央アジアでの遺跡調査を通じてその蓋然性を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の流行により2022年度中は訪中できなかったが、本研究に関わる資料(試料)の分析を進め、予算繰越しした2023年度に『動物・植物・鉱物から探る古代中国』として報告書を編集・刊行した。 日中共同研究としては、中国社会科学院考古研究所・趙海濤研究員との間で、二里頭遺跡出土のタカラガイならびに水銀朱を対象とする共同研究を実施することで合意し、協議書を交わした。考古遺跡出土の水銀朱の産地推定に関しては、山東大学の方輝教授より中国出土水銀朱試料の提供を受け、南武志氏に分析を依頼した。 代表の中村は、良渚遺跡群出土の異系統土器を手掛かりとして、良渚文化の文化的影響が及ぶ範囲と政治的影響が及ぶ範囲の違いについて考察した。また、新石器時代後晩期の囲壁・環濠集落を集成し、二次国家形成の視点から、良渚的支配イデオロギーの他地域への伝播について検討した。村上は、中国出土木製品とアジア各地の民族資料木製品との比較検討を行うとともに、京都大学総合博物館所蔵中国考古資料の記録作成・研究を進めた。久保田は、新石器時代晩期土器の広域編年作業を継続するとともに、日本国内所蔵の中国土器資料の胎土分析に着手した。また、長期滞在先の英国ロンドン大学の研究者らと植物考古学分野の共同研究に従事した。久米は、キルギスのモル・ブラク1・2遺跡で地下探査を実施し、当遺跡での遺構分布を空間的に記録した。また、キルギスの鉱石情報とキルギスならびにウズベキスタン遺跡出土青銅製品の鉛同位体比の比較作業を実施した。角道は、継続して初期青銅器の分布状況を収集・分析した。主な対象となる甘粛省・青海省・寧夏回族自治区・陝西省に加え、新疆地域の状況も可能な限り収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の流行により、2022年度も中国との往来はかなわなかったが、国内で対応可能な検討や分析を精力的に進めた。中村は、環濠集落、玉・石器、土器の分析を通じて、新石器時代中国における一次・二次国家形成に関する研究を深化させることができた。村上は、木製品の民族考古学ともいえる領域へ研究を広げ、木製品の使用法復元に新たな視座を提供した。久保田は、土器の形式学と胎土分析を統合する作業を開始し、実証的な土器研究の境地を開いた。また、欧米人研究との交流を通じて、比較考古学的な視点からの中国文明起源研究を推進した。久米は、実地調査が可能となった中央アジアにおいて調査を実施することで、プロト・シルクロード研究に新資料を提供した。角道は、中国西北地区を中心に初期青銅器の集成的研究、青銅器鉛同位体比データの収集などを行った。それにより中央アジアの初期青銅器文化との対比が可能となりつつある。 以上の通り、COVID-19の蔓延という逼塞した状況にありながらも、日本国内で実施可能な研究を積極的に推し進めたことで、研究をほぼ順調に進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者・分担者の役割分担は以下の通りである。即ち、中村は計画研究全体を統括するとともに、研究計画A03の渡部と共同で遺跡・遺構・遺物の全体的なデジタルドキュメンテーションを推進し、領域全体に研究の基礎的データを提供する。出土遺物の研究は、新石器時代については久保田と秦嶺(研究協力者)が、青銅器時代については角道と秦小麗(研究協力者)が主導する。木器は時代を問わず村上が担当する。出土木製品・民族事例の双方の蓄積が進んだ木製品については、学会発表、論文化に向けてデータを整理する。久米は、集落立地予測手法の開発と中国-中央アジア間交流ルートの推定、トルコ石、タカラガイ等の希少原材を用いた威信材利用の分布研究、アンドロノヴォ文化系青銅器の産地分析を進める。 COVID-19の流行が沈静化の兆しを見せ始めていることから、次年度からは徐々に中国国内調査が可能になるものと予測される。その場合、中国各地の遺跡や関連研究機関を訪問し、中国側調査の進展状況の確認を行い、共同調査の具体的な段取りを決定していく。その上で、これまでに共同研究が一定程度進行している浙江省の良渚遺跡群、陝西省の石ボウ遺跡、河南省の二里頭遺跡などを皮切りに順次研究に着手する。 COVID-19の流行により年度内の訪中調査が不可能となった場合には、本領域の中国側連携機関としてすでに協力が確約されている中国社会科学院考古研究所、復旦大学科技考古研究院、陝西省考古研究院、山東大学歴史文化学院などから研究対象遺跡および関連遺跡につき最新情報ならびに分析試料の提供を受け、日本国内での分析・考察を実施する予定である。
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