Project Area | A New Archaeology Initiative to Elucidate the Formation Process of Chinese Civilization |
Project/Area Number |
20H05818
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
渡部 展也 中部大学, 中部高等学術研究所, 教授 (10365497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (50225538)
村松 弘一 淑徳大学, 人文学部, 教授 (70365071)
大川 裕子 上智大学, 文学部, 准教授 (70609073)
菊澤 律子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (90272616)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥37,830,000 (Direct Cost: ¥29,100,000、Indirect Cost: ¥8,730,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2021: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 交通路 / 情報基盤 / GIS / 生業 / 伝播 / 考古学GIS / ネットワーク / 交通・交易 / 生業・調理 / 言語 / 調理法 / 歴史言語学 / 農耕 / WebGIS / 考古学関連情報 / 人工衛星画像 / 考古学 / 民族考古学 / 調理方法 / 古環境 / 言語集団 / 民族誌 / 二里頭文化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、前3千年紀後半から二里頭文化成立期にかけての威信材を通した交流の背景と具体的様相を解明するため、モノの拡散を規定する諸情報の基盤整備を行い、蓋然性の高い解釈を導こうとするものである。そのために、地理情報、文献資料、民族誌、歴史言語学からもたらされる多面的な知見を援用してこれを行う。大陸レベルでは、広く西方世界と中国的世界との接続ルートを確認し、地域間関係レベルでは、中原地域と山東半島、山東半島と江淮地域等をとりあげるなど、多層的な空間構造からみた地域間関係とその変遷を検討する。以上により、中国世界形成の過程を具体的に理解するための基盤を構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
考古学情報基盤(考古学GISデータベース)を構築し、試運転を開始した。また、登録データの仕様および位置情報や属性の記述方法についても議論を行うとともに、基盤的な空間情報整備として、自然環境系のデータ、遺跡分布データ、衛星画像等をシステムに登録した。 地域間交流のネットワークを理解するため、黄河渡河地点や華北の歴史時代の交通路の絞り込み、黄河河道の変遷と社会変化について研究を進め、同時にこれらに関連する交通の拠点等をGISデータ化した。また、DEM(標高データ)をもとに、幾つかのシナリオにおける最適コストパスの算出を試行し、方法論を検討した。 人の移動、交流と地域形成に関わる調査研究については、今年度もコロナ禍により海外調査ができなかったため、国内現地調査および文献調査で実施する事となった。日本国内では、古代のウルチ米蒸し調理の現地調査を行った。中国南部のウルチ米蒸しとの比較のため、1)ウルチ米を(炊くのではなく)蒸す理由、2)湯取り法炊飯からウルチ米蒸しへの転換過程について分析を行った。歴史言語学からは主に稲作史・稲の利用および農耕に関連する語彙データについて、文献に基づく言語データ入力のためのフォーマットを検討し、入力を開始した。 拠点集落や地域の生活基盤の復元に関わる調査研究では、文献史料をもとに華北の稲作事例を抽出する作業を行った。稲は唐代以前の華北においても、栽培条件が合えば選択され得る作物であったことを文献記載から確認し、その栽培条件として①沼沢地周辺、②清水を得られる地点、の二箇所を想定した。また、淮河北岸における野生植物の食糧利用の事例についての記述を抽出する作業も進めた。山東地域を対象に、衛星画像および遺跡分布と、既存の考古学研究から知られる稲作の状況と比較を行い、地理環境と農耕の関係についても分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
考古学情報基盤(考古学GISデータベース)の基本機能の実装と一部の基盤情報の登録を進め、プロトタイピングを完了することができた。登録情報はまだ少ないながらも、環境情報を中心に多少な情報を登録し、基盤の試験運転を開始できた。地域間をつなぐ交通路については、華北を中心に、歴史時代における具体的な経由地や経路の整理が進んだ。また、GISをもちい、地域間の交通路の推定経路を幾つかのシナリオのもと、複数の標高データを比較しつつ分析を行った。この試行により、交通時の河川利用の影響の大きさやその範囲、地域なのつながりについての大きな見通しを得ることができたほか、データや分析パラメータについても検討すべき課題の知見を得た。コロナの影響によって、現地調査は限定的とならざるを得なかったが、国内を中心に代替的な調査を進め、ウルチ米を蒸す調理の共通特徴と調理法のバリエーションから、民族誌モデルの構築に向けた理解を進めることができた。また、同じく人、文化、生業の移動や伝播の理解に関わる歴史言語学的なデータについても仕様が固まり、入力を開始した。また、長江流域および山東半島における歴史時代の多面的な農作物の利用の実態と、主に水利を中心とした土地利用のあり方について、部歴史文献からの整理が進んだ。これにより、南北の異なる環境下における生業の理解がより具体的となった。また、文献から知られる水利施設や、記述されている地域について、衛星画像(特にCORONA衛星画像)からの観察を行い、文献史学の研究と地理情報科学の研究を組み合わせ、より具体的な空間理解と土地利用復元に向けた見通しを立てることができた。 以上、情報基盤の構築と、地域間のつながりの解明に向けた諸要素についての調査研究は進んでおり、コロナによる影響は少なからず受けたものの全体的な進捗としてはおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に試運転を開始した、考古学情報基盤(考古学GISデータベース)の本格運用を目指すことが次の目標である。これを実現するために、最終的な改善点の洗い出しと修正を急ぐとともに、引き続き基盤情報の充実を図りたい。具体的には、1)特に黄土高原および黄河両岸の遺跡・交通路に関連する地名・場所の検討とGISデータ構築、2)入手できる既存の言語データに基づく言語GISデータ作成、3)交通路推定シミュレーション手法の改良と推定交通路GISデータの作成を進めることでこれを実現する。また、計画班内だけではなく、領域内で情報の共有を図れるように、情報基盤の活用を推進する説明会等の開催を予定している。 また、人や集団の移動に伴う技術の伝播や拡散の具体像についても、引き続き調理、農業技術等の観点から検討を進め、理解をさらに深化させたい。交通路については、引き続き華北の石ボウ‐陶寺‐中原にかけてを中心に、より具体的な空間的つながりを検討する。調理法の民族考古学的調査については、北部タイ、東南アジアなど現地調査が可能な周辺地域から実施していく予定である。ウルチ米蒸し調理の具体的内容や歴史的経緯の解明、河姆渡・良渚文化等の初期稲作の伝統の伝播や拡散についても、古代の日本・韓半島とのつながりからの検討を実施していく。土地利用と生業に関しては、中国南部地域、淮河、山東地の比較を意識しつつ、衛星画像等の地理情報と比較することで具体的な空間として復元する方向性を検討したい。関連要素の研究が進みつつあるので、研究者間、要素間の融合的な研究に向けた可能性についても積極的に探っていく予定である。
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