Project Area | A New Archaeology Initiative to Elucidate the Formation Process of Chinese Civilization |
Project/Area Number |
20H05821
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 康雄 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (00780256)
澤田 純明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (10374943)
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
石丸 恵利子 広島大学, 総合博物館, 研究員 (50510286)
蔦谷 匠 (澤藤 匠 / 蔦谷匠) 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 助教 (80758813)
|
Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥93,470,000 (Direct Cost: ¥71,900,000、Indirect Cost: ¥21,570,000)
Fiscal Year 2024: ¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥21,450,000 (Direct Cost: ¥16,500,000、Indirect Cost: ¥4,950,000)
Fiscal Year 2022: ¥21,840,000 (Direct Cost: ¥16,800,000、Indirect Cost: ¥5,040,000)
Fiscal Year 2021: ¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,480,000 (Direct Cost: ¥9,600,000、Indirect Cost: ¥2,880,000)
|
Keywords | 同位体分析 / 人骨 / 土器胎土 / 栄養ストレス / 形質人類学 / 古人骨 / 胎土 |
Outline of Research at the Start |
古人骨とくに従来研究がない散乱骨や遊離歯で同位体(C、N、O、Sr)を用いた出身地推定を行う。通常の個別埋葬墓、集団埋葬墓、頭骨抗、殉死者などと比較することで、新石器晩期から青銅器文化初期に長距離を異動した個体を探索する。歯エナメル質のタンパク質解析で性別を決定すれば、遊離歯であっても移動者の性比を決定できる。 あわせて、副葬品である土器の同位体比(Sr、Nd)や奢侈品であるワニ骨、象牙の同位体比(C、N、O、Sr)からモノの動態を復元する。 人骨の形態では幼少期のストレスや、風習的な抜歯や頭蓋変形から個体の出自や階層についての情報を抽出し、同位体情報と統合して、当時のヒトの動態を復元する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の影響で、計画していた陝西省等での現地調査を実施できなかった。中国から来日した海外研究協力者に資料の運搬を依頼して、中国南部の動物骨などの分析を進めた。また渡航可能であった留学生に依頼して、浙江省の新石器時代遺跡・井頭山遺跡出土の土器付着炭化物を日本に持ち帰り、炭素・窒素同位体分析と残存脂質分析を実施した。 都市への穀物や家畜、土器などの搬入範囲を復元するために、酸素とストロンチウムの同位体比に関する中国国内の情報と、地図化方法についてA03班と協力しながら検討を進めた。その結果、表層水の酸素と生物試料・表層水のストロンチウムの同位体比は多く報告されていることを確認した。しかし、既報の分布図は、単純な空間補正に基づいており、地質環境などの影響を考慮した高精度な同位体地図を作製することが必要であることがわかった。 海外調査の代替として、農業の成立による人口拡散と文化的影響をモデル化するためにの共同研究をC02班とともに、日本列島の弥生時代人骨で開始した。具体的には、稲作農耕文化をもつ渡来系集団と多角的な狩猟採集文化をもつ在地系集団の文化的・遺伝的交流の実態を明らかにするために、長野県から出土した弥生時代人骨の放射性炭素年代、炭素・窒素同位体比、古代DNAのサンプリングを実施した。形態学的には縄文人の特徴を有する集団を対象とすることで、渡来系文化の拡散に遺伝的拡散が共伴するかどうかを検証し、農業社会の確立と文明成立の関係を日本列島で検討する。あわせて雑穀類の利用の季節性を明らかにする微細ドリリング法の研究を開始した。 以上の成果のうち、黄河中流域の新石器時代の人的交流、中国南部の動物管理、長江下流域の新石器時代人骨について国際会議で学会発表した。また日本人類学会・日本霊長類学会連合大会でシンポジウムを主催し、文明誕生の理解にむけた方法論について幅広い分野の専門家と意見交換した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
黄河中流域の陝西省石ボウ遺跡などで遺跡出土骨について分析の内諾を得ていたが、中国への外国人渡航が厳しく制限されていたために、調査を実施できなかった。中国から渡航した海外研究協力者や帰国可能だった中国人留学生に一部資料の運搬を依頼するとともに、日本国内の資料で領域全体目標に資する研究を新たに提案して、実施することとした、国内学会でシンポジウムを開催し、領域目的の実現にむけた研究計画の改変に関する議論を行い、関係する分野の研究者から様々な意見やアドバイスを頂いた。そこで、日本列島に弥生時代に齎された稲作を中心とする農耕文化の伝播様式を、形態学的に縄文人の子孫と考えられている長野県出土人骨で調査することとした、あわせて雑穀類の利用の季節性を明らかにする微細ドリリング法の研究を開始した。これらの研究によって、中国に起源した農業社会の影響が、どのように周辺地域に伝播したのかを明らかにすることができれば、文明を最初に有した社会が周辺に与えた影響力の在り方を理解する助けとなると期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
中国での現地調査が再開できる目途が立たない状況であるので、現地の協力者によって試料採取が可能である浙江省と広東省の資料を中心に、動物骨、植物遺存体、土器胎土などの分析を進める。中国への渡航が再開されたときに速やかに試料採取ができるように、現地の研究者を日本に招聘するなどして、事前に十分な情報交換と協議を重ねる予定である。また、中国文明の発生とその影響を評価するために、日本列島における水稲・雑穀栽培の縄文系集団による受容という新規研究項目を追加することとした。微細サンプリング技術の応用で、これまで明らかにすることができなかった穀物利用の季節性を明らかにすることで、多角的な狩猟採集民が農作物を中心とした農業社会に変化した実装を明らかにし、遺伝的交流もあわせて明らかにできれば、中国中原地域に発生した農業社会が周辺に強い文化的な影響を与えて、文明と呼ばれる状況を生み出した状況を理解する一助となると考える。さらに、農業社会の遺伝子拡散の背景となる生物学的・進化学的な理由を検討することで、領域全体の中国文明誕生に係る理論的背景を考察することを目指す。
|