Project Area | What is dark matter? - Comprehensive study of the huge discovery space in dark matter |
Project/Area Number |
20H05861
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 真一郎 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 客員科学研究員 (80791970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽家 篤史 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (40334239)
岡本 崇 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50541893)
西道 啓博 京都産業大学, 理学部, 准教授 (60795417)
白崎 正人 統計数理研究所, 統計思考院, 助教 (70767821)
Dalal Neal 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 客員上級科学研究員 (90873513)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥66,430,000 (Direct Cost: ¥51,100,000、Indirect Cost: ¥15,330,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,910,000 (Direct Cost: ¥10,700,000、Indirect Cost: ¥3,210,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
Fiscal Year 2022: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2020: ¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
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Keywords | ダークマター / 構造形成 |
Outline of Research at the Start |
ダークマターの正体を突き止めるにあたって、銀河よりも小さいスケールにおける分布が鍵となる可能性が指摘されている。従来のアプローチでは主に冷たい暗黒物質の場合に焦点を当てて研究が進んできたが、今回これをそれ以外のダークマター候補へと拡張し、それぞれの場合においてどのような分布が得られるかを網羅的に研究する。理論的考察とシミュレーションの双方を駆使することで、精度の高いモデルの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築した構造形成の準解析的モデルをさまざまなダークマター候補粒子の場合に適用した。対消滅断面積が速度依存性を持つような場合(Ando, Ishiwata, 2021, Phys. Rev. D 104, 023016)、WDMの場合(Dekker et al., 2021, Phys. Rev. D 104, 023021)、超重ダークマターの場合(Ando et al., 2021, Phys. Rev. D 104, 023022)において、期待されるシグナルの予言を行い、将来計画における検出可能性の議論を行った。ニュートリノ望遠鏡を用いて、重いダークマターの崩壊や対消滅を制限する研究も行っている(Basegmez du Pree et al., 2021, JCAP 05, 054)。さらにはハローの質量関数に関しても、最大規模の数値シミュレーションの結果を用いることで大幅なアップデートを行なった(Shirasaki et al., 2021, Astrophys. J. 922, 89)。 ダークマターが比較的軽いアクシオンやそれに類する粒子で構成されている場合に、それらが可視領域やX線領域の光子へと崩壊する可能性がある。この可能性について、銀河ハローからのX線放射を用いたり(Dekker et al., 2021, Phys. Rev. D 104, 023021)、あるいは可視赤外領域の将来計画などで得られる背景放射と銀河カタログとのクロス相関をとること(Shirasaki, 2021, Phys. Rev. D, 103, 03014)で検証を行なった。 その他にも構造形成の理論モデルを用いることで宇宙論のさまざまな側面に関する研究を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においてWDMの準解析的モデルの構築を行うことに成功し、論文の投稿を行なった。これをもってCDMとWDMに関するモデル化にひとまず成功したということができ、研究計画が順調に進展しているといえよう。これらをベースにすることで、矮小銀河や銀河ハローにおけるダークマター分布を用いて、候補粒子の性質を詳細に探る研究をより精密化することができた。 WDMのシミュレーションに関しては、一通り計算が終了し、前述した解析モデルと比較することで更なる理解を目指しているところである。 研究計画に記述していた他の候補である、自己相互するダークマター(SIDM)やファジーダークマター(FDM)についてもすでに研究を開始しており、それぞれにおいて、孤立系のダークマターシミュレーションと解析モデルとの比較、超低輝度衛生銀河の速度分散のプロファイルを用いた制限を誠意進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
CDM以外のダークマターの有力候補である、WDM、SIDMやFDMにより一層注力して研究を進めていく。 SIDMに関しては孤立系シミュレーションからさらに発展させて、宇宙論的シミュレーションによるデータを用いることで、準解析的モデルの精密化をさらに進めていく。ゆくゆくはサブハローの密度プロファイルや質量関数を求めるコードを開発して公開する予定である。 FDMに関しては我々の研究成果により、矮小銀河、特に超低輝度を持つものを用いることで、最も効率よく制限を与えられることが示された。これをさらに発展させるべく、CDMにおいて開発したサブハローの準解析的モデルと矮小銀河の運動学的データを効率よく用いることで、FDMの質量に対して最も現実的な制限を与えることを目指す。 WDMに関しては、通常のN体シミュレーションでは、小スケールでの統計ノイズの問題が常に付き纏ってきた。これを払拭すべく、Vlasov方程式を数値的に解くことで全く新しい道筋を示すことを計画している。数値的にさまざまな困難が予想されるものの、このアプローチでなされた研究は未だ存在しない。このため、我々の研究が今後の研究の方向性を左右する貴重な資金石となることが高く期待できる。
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