Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
20H05879
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 博基 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (80422525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 博明 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00324971)
久保園 芳博 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (80221935)
佐藤 友子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (80553106)
中島 清隆 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (90451997)
田中 秀明 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40346169)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥175,240,000 (Direct Cost: ¥134,800,000、Indirect Cost: ¥40,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2023: ¥28,990,000 (Direct Cost: ¥22,300,000、Indirect Cost: ¥6,690,000)
Fiscal Year 2022: ¥29,380,000 (Direct Cost: ¥22,600,000、Indirect Cost: ¥6,780,000)
Fiscal Year 2021: ¥40,300,000 (Direct Cost: ¥31,000,000、Indirect Cost: ¥9,300,000)
Fiscal Year 2020: ¥50,830,000 (Direct Cost: ¥39,100,000、Indirect Cost: ¥11,730,000)
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Keywords | 誘電体 / 超伝導体 / 触媒 / 単結晶育成 / 高圧実験 / 超秩序構造 / タンパク質 / 局所構造 / 元素置換 |
Outline of Research at the Start |
現在、情報通信やパワーエレクトロニクス技術の飛躍的な向上、そして環境に優しく持続可能な社会の構築、これらの一見両立が困難なニーズが同時に高まる中、新材料開発における革新的展開が強く求められている。それに対して「超秩序構造」の基礎学理は、ミクロな構造に対して驚異的な機能性を付与する材料設計の新概念であり、個々の構成元素の特性に依存した従来の材料設計をアップグレードするものである。本計画研究では、異分野間の有機的かつ相乗的な連携の下、「超秩序構造」という新たな材料設計コンセプトによって、優れた材料特性と高い環境親和性を同時に実現する革新的なエマージェント物性の創出に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
(谷口G)巨大分極応答性超秩序構造の創出に向けてチタン石型化合物における新規反強誘電体の探索と元素置換による局所構造制御に取り組んだ。その結果、チタン石型反強誘電体CaTi(Si,Ge)O5の反位相境界近傍に優れた分極応答を有する極性構造が形成することを見出した。(久保園G)新奇な機能性を発現する超秩序構造を有する新規な物質群の開発と、その物質の構造的電子的な特性の解明に関する研究に取り組んだ。その結果、FeSeへの原子ドーピングによる超伝導や、Bi系物質におけるCDW転移の制御、Fe5-xGeTe2でのTe三量体形成過程に関する新たな知見を得た。(中島G)Nb、V、Wなどを含む酸化物触媒のルイス酸性質を利用したグルコースの逆アルドール反応に対して、従来法では回収できなかった不安定生成物であるエリスロースおよびグリコールアルデヒドを高選択率で合成できることを見出した。(武田G)チョクラルスキー法により、新奇誘電体CaTi(Si,Ge)O5、全固体Liイオン電池負極候補材TiNb2O7、高温用圧電材料Ca2ZnSi2O7のバルク単結晶を育成した。(佐藤G)高圧下における超秩序構造の探索のため、ダイヤモンドアンビル装置を用いた超高圧下その場蛍光X線ホログラフィ測定手法の開発とガラスの圧力誘起高密度化現象の観察を行った。(田中G)フェレドキシン(Fd)のXFH実験については追加のデータ収集を行い、2Fe-2S金属クラスター周辺の原子像の再生を目指した。水素原子の可視化を目指した中性子結晶構造解析では、酸化型および還元型FNRの全原子座標を決定することができた。さらに酸化型Fdの中性子結晶構造解析についても成功し、JRR-3で収集したデータを用いて全原子座標の決定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(谷口G)巨大分極応答性超秩序構造に関しては、Nb置換TiO2の誘電率増強の起源としてNb近傍における局在ポーラロンの形成を明らかにした。また、光機能性超秩序構造創出に関しては、BaAl2O4における光誘電効果の起源として一対のZnO3を核とした複合欠陥に局在する光励起双極子の形成を明らかにした。(久保園G)2次元層状物質を基礎とした超伝導、超伝導-CDW共存系、トポロジカル量子物質、強磁性体などの新機能開拓と構造・電子状態の解明が順調に進行している。(中島G)逆アルドール反応に有効なルイス酸触媒作用をもつ単純酸化物を包括的なスクリーニングにより同定し、その一つである酸化ニオブを利用したエリスロースおよびグリコールアルデヒドを合成する優れた反応プロセスを見出しつつある。(武田G)CaTi(Si,Ge)O5とTiNb2O7について、物性測定と構造解析に十分な大きさである単結晶試料を提供することができた。Ca2ZnSi2O7についてもバルク単結晶化に成功しており、高温用途として展開できるSr置換Ca2ZnSi2O7についても、圧電特性の温度安定性をもつ組成を見出している。(佐藤G)超高圧下その場蛍光X線ホログラフィ測定では、試料に対して適切なフィルタを用いることで、10GPa程度までの圧力範囲で高圧下の試料の良好なホログラフィ像を得ることが可能になった。また、室温下での高密度化現象を高圧下その場時分割X線回折測定により観察し、数点の圧力で高密度化の進行に関するデータが得られた。(田中G)フェレドキシン(Fd)のXFH実験についてはシグナルに混入したBraggピーク除去による原子像再生が進行中である。FNRの中性子構造については、電子伝達機構の原子レベルでの解明が実現しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
(谷口G)巨大分極応答性超秩序構造に関しては、これまでの取り組みで得られた知見を新たな基礎学理として整理し、論文などで公表する。また、チタン石型化合物における巨大分極応答性超秩序構造の探索を推し進める。光機能性超秩序構造に関しては、現在の取り組みを発展的に継続するとともに、より優れた光誘電効果を示す物質系を探索する。(久保園G) 結晶内に形成される超秩序構造を精密に捉える蛍光X線ホログラフィや光電子ホログラフィ等の手法の積極的利用や、様々な極限環境下での精密構造解析の展開、電子状態の精密な探知手法の積極的利用、デバイス構造を使った新たな機能物性発現研究を通じて、「超伝導と多様な秩序状態が共存し、お互いに協奏しあう物質系」を創出する。(中島G)逆アルドール反応に有効な触媒の必要条件を同定できた。今後は、VやMoなどを含む複合酸化物の触媒作用を検討する。特に、アルコールに対する酸化還元反応に安定な触媒群の候補として,水分解用光触媒反応で使用されているような物質群に注目する。(武田G)Sr置換CZS のバルク単結晶をチョクラルスキー法によって合成する。また、高酸素分圧下においてBaGa2O4の単結晶化を試みる。これに関しては、本科研費で導入した高圧雰囲気下単結晶引上装置(引上装置)を用いて酸素分圧を最大10気圧まで制御することで対応する。(佐藤G)確立した超高圧下その場蛍光X線ホログラフィ測定技術を用いて、10GPa以下で起こる相転移現象の観察を行う。GeO2などで報告されている圧力誘起アモルファス化現象などをターゲットとしたい。また非晶質の圧力誘起相転移のカイネティクスモデルを用いて、高密度化現象を統一的に説明できるパラメータ探索を行う。(田中G)フェレドキシン(Fd)の原子像再生を目指す。FNRおよびFdの中性子構造解析については、今年度内に論文化する。
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