Project Area | Multifaceted Proteins: Expanding and Transformative Protein World |
Project/Area Number |
20H05929
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
遠藤 斗志也 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (70152014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 俊介 九州大学, 農学研究院, 助教 (70704295)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥145,080,000 (Direct Cost: ¥111,600,000、Indirect Cost: ¥33,480,000)
Fiscal Year 2024: ¥24,830,000 (Direct Cost: ¥19,100,000、Indirect Cost: ¥5,730,000)
Fiscal Year 2023: ¥25,350,000 (Direct Cost: ¥19,500,000、Indirect Cost: ¥5,850,000)
Fiscal Year 2022: ¥25,350,000 (Direct Cost: ¥19,500,000、Indirect Cost: ¥5,850,000)
Fiscal Year 2021: ¥24,050,000 (Direct Cost: ¥18,500,000、Indirect Cost: ¥5,550,000)
Fiscal Year 2020: ¥45,500,000 (Direct Cost: ¥35,000,000、Indirect Cost: ¥10,500,000)
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Keywords | ミトコンドリア / Msp1 / ER / Spf1 / ATAD1 / 細胞内局在の校正 / TAタンパク質 / Nアンカータンパク質 / GETシステム / タンパク質配送の校正 / AAA-ATPアーゼ / テイルアンカータンパク質 |
Outline of Research at the Start |
ミトコンドリア外膜のAAA-ATPアーゼのMsp1は,外膜に誤配送されたテイルアンカー(TA)タンパク質をATPのエネルギーを使って引き抜いてER膜に送り込むことで,誤配送タンパク質の分解か配送やり直しかが決まる。本研究では以下の問いに答えることをめざす。(1)Msp1の基質はどこまで一般化できるか?(2)Msp1は他のオルガネラでも機能できるか?(3)Msp1の配送の校正にパートナー因子は必要か。(4)校正基質はオルガネラ間コンタクト部位を介して移動するか。これらの研究を通じて,「タンパク質の配送の校正」という,タンパク質の細胞内局在様式に関わる新たな概念と原理を確立したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
われわれは,タンパク質の配送にはやり直し(校正)機構が存在すること,すなわちミトコンドリア外膜のAAA-ATPアーゼのMsp1がミトコンドリア外膜に誤配送された膜タンパク質を検出して引き抜き,ER膜に送り,ERで分解するか配送をやり直すかが決まることを見出した。本研究では,Msp1による「誤配送の校正」の発見に基づき,ERやペルオキソソームのような他のオルガネラでも同様の誤配送の校正があるのかどうかを明らかにしようとしている。 ER膜にはMsp1とは別のタイプ(P-type)のATPアーゼであるSpf1(ヒトではATP13A1)が存在し,これが酵母で欠損するとミトコンドリア外膜のタンパク質(TAタンパク質と一部のNアンカータンパク質)がERに誤局在することを見出した。さらにプロモーターによる発現スイッチ法を使って,誤配送基質の発現をオフにしてからSpf1の発現を誘導すると,誤配送されたミトコンドリア外膜タンパク質がERから減少し,ミトコンドリアへの局在が回復することが分かった。これらの局在の変化は,Spf1欠損に伴うERストレス誘導やエルゴステロールのオルガネラ間分布の変化による二次的影響に由来するものではないことを確認した。また,ミトコンドリアのNアンカータンパク質のうち,正しい局在にSpf1の機能を必要とする要件を検討し,他のタンパク質との複合体形成能が1つの要件であることを見出した。分担研究者はクライオ電顕を用いた単粒子解析によって,耐熱性酵母とゼブラフィッシュ由来Msp1の立体構造を決定した。その結果,Msp1は各サブユニットがらせん階段状にアセンブリーしたホモヘキサマーを形成し,ヘキサマー中心のリングに結合した基質模倣ペプチドの認識機構が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で以下のことが明らかになった。(1)Msp1によってミトコンドリア外膜から引き抜かれた誤配送テイルアンカー(TA)タンパク質がERに移動すること,この移動にはサイトゾルのシャペロンGet3とそのER上の受容体Get1/2(合わせてGETシステムと呼ぶ)が関わることを明らかにした。(2)ERのATPアーゼであるSpf1が欠損するとミトコンドリア外膜のTAタンパク質や一部のNアンカータンパク質がERに誤局在し,Spf1を発現するとミトコンドリアへの正常な局在が回復することを見出した。ミトコンドリアのNアンカータンパク質のうち,Spf1が欠失するとERに誤局在するものとしないものを調べたところ,Nアンカータンパク質はミトコンドリア上でオリゴマーを作るタンパク質は,ERに誤局在しないことを見出した。これらの結果から,いったんミトコンドリアに局在したタンパク質が何らかの仕組みで引き抜かれることが,ERへの誤局在に重要であることが示唆された。(3)新規合成された一部のミトコンドリア外膜タンパク質は,Spf1が欠損するとER膜に一時的に蓄積することが観察された。一時的なERへの蓄積はSpf1の発現により減少した。これらの結果は,一部の新規合成ミトコンドリア外膜タンパク質のミトコンドリアへの標的化にも,ERのSpf1が何らかの形で関与する可能性を示している。(4)分担研究者はクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析によって,耐熱性酵母とゼブラフィッシュ由来Msp1の可溶性領域の立体構造決定に成功した。構造解析の結果、Msp1はサブユニットがらせん階段状に集合したホモヘキサマーを形成していた。耐熱性酵母由来Msp1についてはオープン型の構造,ゼブラフィッシュ由来Msp1についてはオープン型とクローズ型の構造が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,Spf1欠失株におけるミトコンドリア外膜タンパク質の局在の撹乱が,発現を回復したSpf1だけでなく,ERに人為的に局在化させたMsp1によっても回復できるかどうかを調べる。Msp1のN端膜貫通(TM)配列を,ミトコンドリア,ER, ペルオキシソームのNアンカー型膜タンパク質のTM配列に置き換えたタンパク質を作製し,Spf1欠失株におけるミトコンドリア外膜タンパク質のERへの誤局在がどのように影響を受けるかを調べる。 Spf1欠失株において,一部のミトコンドリア外膜タンパク質はERに誤局在する。このERへの誤局在に関与する因子を検索する。ミトコンドリアからERに移行するのであれば,ミトコンドリアからの引き抜きを担うタンパク質候補としてMsp1を検討する。また引き抜かれたタンパク質のERへの移行に関わる因子の候補としてGETシステムのGet1, Get2/3を検討する。ER-ミトコンドリアコンタクト部位を形成するERMES複合体などの関与も検討する。ミトコンドリアを経由せずにERに誤局在する可能性については,SRPの関与を検討する。 ERに誤局在したミトコンドリア外膜タンパク質は,Spf1を発現するとミトコンドリアに移行する。この移行過程に関与する因子の検索を行う。GETシステムを構成するGet1,ER-ミトコンドリアコンタクト部位を形成するERMES複合体などの関与を検討する。またER-SURFに関わる因子の関与も検討する。 分担研究者は,得られたMsp1のクライオ電顕構造をもとに,変異体の機能解析を行い,基質認識機構を明らかにする。そして,酵母発現系より膜貫通配列を含むMsp1全長とモデル基質(Pex15Δ30)複合体を調製し,クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析を進める。
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