Project Area | Material properties determine body shapes and their constructions |
Project/Area Number |
20H05947
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 康博 京都大学, 工学研究科, 教授 (80442929)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥64,870,000 (Direct Cost: ¥49,900,000、Indirect Cost: ¥14,970,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
Fiscal Year 2022: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2020: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 多細胞力学シミュレーション / 折り畳みと展開 / 生物の面構造 / 計算力学 / 生物物理学 / 折り畳み構造物 / 生物の面構造の3D変化 / シート変形 / 計算機シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
3D形状とは、物体表面が作る形であることから、器官の形態形成は面の形作りといえる。本研究では、細胞集団の面の変形を表す3Dバーテックスモデルを応用し、昆虫の3D外骨格形状を対象に、面構造を作る「折り畳みと展開」の力学的な原理を明らかにすることを目的とする。3Dバーテックスモデルを発展させ、器官レベルの大規模スケールの物体変形を解析するシミュレーション基盤を確立し、「3D形態の折り畳み図面への変換と面への一体成形」の謎に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
上皮組織の皺パターンを決定する支配方程式を力学的なエネルギー汎関数から導出することに成功した。この方程式により、周囲環境の特性(柔らかい・硬いなど)の非対称性に応じて特徴的なパターンが生じることが明らかとなった。この成果を論文にまとめ査読付き英文誌に発表した。 器官・組織の形態形成において、細胞増殖は空間的に非一様に生じ、それにより形状の多様性や特徴的な構造が現れる。これを偏差成長と呼ぶ。偏差成長率の空間的分布を定量的に明らかにすることは、その組織や器官の形状がどのように形成されるのかを理解する上で重要であるため、偏差成長の空間的分布の定量的な推定手法の開発を行った。この手法をカブトムシのツノ原基の形成過程に適用し、新美班と連携して手法の有効性と精度を検証した。この成果を国際会議において口頭発表した。 また、マクロな形態形成の多細胞力学を捉える新しい数理モデルとして、細胞重心位置で粗視化した多細胞力学モデルを開発している。本モデルは、従来のモデルに比べて計算時間を短縮できるため、より効率的なシミュレーションが可能となり、観察データとシミュレーションを統合した予測手法の開発が可能となる。このような手法の開発は、シミュレーション予測の精度の向上へとつながり、多細胞力学の研究や生物の形態形成メカニズムの解明を促進できる。2022年度には、力学シミュレーションを担う数理モデルに大きな進展があり、細胞活動を重心位置で粗視化し、従来モデルと同等の計算結果の再現および連続体力学理論に基づく有効性の保証が示された。この成果を論文にまとめ、現在、理論生物学の英文誌に投稿し査読を受けているところである。本モデルは英文誌掲載と同時に領域ホームページでも公開し広く普及させることに努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上皮組織の皺パターンを決定する支配方程式を力学的なエネルギー汎関数から導出することに成功した。この方程式により、周囲環境の特性(柔らかい・硬いなど)の非対称性に応じて特徴的なパターンが生じることが明らかとなった。この成果を論文にまとめ査読付き英文誌に発表した。 偏差成長前後の器官や組織の形状間をつなぐ数学的な手法を確立した。この手法により、成長前のどの位置でどの程度の成長が起こると、成長後の特定の形状へと発展するかを定量的に評価することが可能となった。そこで、実際のカブトムシのツノ原基の形成過程における形状変化の解析に適用した。まず、新美班と連携し、ツノ原基のCT撮影および細胞分裂の空間分布の観察を行ない、次に、これらデータおよび新美班で取得済みであったデータも加えて解析を行い、手法の有効性と精度を検証した。その結果、開発した手法が現実のツノ原基の成長過程を定量的に評価可能であり、偏差成長の空間分布の情報を取得できることが示された。この成果を国際会議において口頭発表した。 マクロな形態形成の多細胞力学を捉える新しい数理モデルとして、細胞重心位置で粗視化した多細胞力学モデルを継続して開発している。本モデルは従来の3Dバーテックスモデルと比較して、計算時間を短縮できる利点がある。この利点を活かして、観察データとシミュレーションを統合した予測手法の開発に取り組んでいる。2022年度は、力学シミュレーションを担う数理モデルに大きな進展があった。細胞活動を重視位置で粗視化し、従来モデルと同等の計算結果の再現および連続体力学理論に基づく有効性の保証が示された。この成果を論文にまとめ、現在、理論生物学の英文誌に投稿し査読を受けているところである。本モデルは英文誌掲載と同時に領域ホームページでも公開し広く普及させることに努める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
推定した偏差成長分布により、成長後の3D形態が説明できるかを検証する予定である。そのため、新しい多細胞力学モデルを用いて、細胞増殖のシミュレーションを計算機上で行う予定である。また、本モデルは、3Dバーテックスモデルと比べて計算効率が高いことが分かっている。この高い計算効率を活かし、実験データとシミュレーション予測を融合するデータ同化手法を導入することができると期待できる。これにより、将来、顕微鏡で得られるライブイメージングに重ねて、リアルタイムに細胞の力学状態を推定することができるようになるかもしれない。この技術は、発生生物学の研究を加速する革新的な技術となる可能性があるため、引き続き、数理モデルの高度化に向けた開発を継続する。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)