Budget Amount *help |
¥75,010,000 (Direct Cost: ¥57,700,000、Indirect Cost: ¥17,310,000)
Fiscal Year 2024: ¥12,480,000 (Direct Cost: ¥9,600,000、Indirect Cost: ¥2,880,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,960,000 (Direct Cost: ¥9,200,000、Indirect Cost: ¥2,760,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,960,000 (Direct Cost: ¥9,200,000、Indirect Cost: ¥2,760,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2020: ¥27,300,000 (Direct Cost: ¥21,000,000、Indirect Cost: ¥6,300,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、意識されない質感認知(深奥質感)が、脳損傷患者および高齢者においてどう変化するかを知ることを目的としている。ものの質感の一つとして、対象が光輝いて見える明るさや光沢に関する質感がある。グレア錯視は、グラデーションで囲まれた白色領域が、一様な灰色で囲まれた白色領域より明るく輝いて感じられる現象である。グレア錯視では光の強さが変化しなくても縮瞳がみられ、若年成人においては縮瞳の程度はどれだけ明るく感じたかという自覚的な明るさに関連する。すなわち、瞳孔反応という客観的指標が、本人の明るさの感じ方の変化を反映していると考えられる。今年度もこのグレア錯視による瞳孔反応を計測することにより、意識的判断を要しない質感認知について検討を進めた。 まず、神経疾患の既往のない高齢者群(n=10, 73.6歳±3.77)と若年成人群(n=22, 29.0歳±7.18)を対象とした測定結果の解析を進めた。両群を比較すると、高齢者群では縮瞳の程度、定位反応、青刺激に対するpost illuminant pupillary responseともに小さいことが分かった。また、高齢者群では個人間での反応のばらつきが少ないことが観察された。次に認知症者を対象にグレア錯視に対する瞳孔反応の測定を行った。認知症者としては正常圧水頭症、アルツハイマー型認知症などの神経変性疾患を対象とした。その結果、正常圧水頭症患者でグレア錯視に対する瞳孔反応が、健常高齢者、健常若年者に比べて小さい傾向があることが分かった。予備的な評価で、グレア錯視が明るく輝いて見える効果が正常圧水頭症では落ちていることが示唆され、瞳孔反応の小ささに影響している可能性が考えられた。このように、グレア錯視に対する瞳孔反応は、明るさに応じた単純な脳幹経由の縮瞳ではなく、大脳からのtop-downの修飾を受ける反応と考えられ,脳損傷患者では変化することが示された。
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