Project Area | Formation of the Multiscale Muon Imaging for Particles and Huge Structures |
Project/Area Number |
21H05085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀井 泰之 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (80616839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智之 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (50749629)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥39,000,000 (Direct Cost: ¥30,000,000、Indirect Cost: ¥9,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
Fiscal Year 2022: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
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Keywords | 素粒子 / ミューオン / ガス検出器 / LHC / アトラス実験 |
Outline of Research at the Start |
高い透過力を持つミューオンを用いてアトメートルからキロメートルの対象を可視化するマルチスケールミューオンイメージングの創成を目指す。ガス検出器によるリアルタイムミューオン検出の技術を構築し、LHC加速器における多重陽子陽子衝突を可視化することで、新しい素粒子現象を探索する。また、構築したミューオン検出の技術を発展させ、次世代の高輝度実験に向けた高精度ミューオン検出の技術を開発する。さらに、加速器実験で培ったミューオン検出技術を巨大構造物のリアルタイム透視に活用するためのシステム設計・開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
25ナノ秒おきに60発生する陽子陽子衝突中のミューオンをリアルタイム検出するシステムを運用し、重心系エネルギー13.6 TeVのデータを収集した。電力節約制限から運転時間が短縮される中でデータ量を最大化する努力を、加速器、実験双方で精力的に行っている。加速器におけるビーム強度の増強により、ATLAS実験遂行の要である初段トリガーの出力が帯域幅の限界100 kHzに到達した。そこで2022年度から準備を進めてきた内層ミューオン検出器やカロリメータを統合した新しいミューオン検出ロジックを稼働させた。ミューオン検出性能の向上により、8 kHzのトリガーレート削減を達成し、ATLAS実験のデータ取得効率を向上させた。また、将来、25ナノ秒おきに200発生する陽子陽子衝突中のミューオンをリアルタイム検出するシステムを構築するために、XCVU13P FPGAを搭載した電子基板の第二試作機を設計した。
これまでに収集したデータを用いて、トップクォークの質量測定に向けた手法構築を行った。トップクォークの崩壊で生じるジェイ・プサイ粒子に起因するミューオンの運動量を用いることで、ジェットのエネルギー不定性に由来する系統誤差を強く抑制できることを明らかにした。また、様々な視点から超対称性粒子の解析を進めた。暗黒物質候補となる超対称性粒子探索のために、低運動量の粒子を検出する専用アルゴリズムの構築を進めた。ターゲットとする超対称性粒子の信号の特徴を深層学習で効率的に抽出し、従来は莫大な背景事象で埋もれて検出が困難であった微弱な信号の検出可能性を示すことができた。計画研究A04との連携研究であるミューオン異常磁気能率に関する研究にも着手した。ミューオン異常磁気能率に寄与しうる超対称性粒子とその質量階層を精査し、従来検証がなされていなかったシナリオを見つけ、その研究手法の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年から導入したミューオン検出システムにおいて、内層ミューオン検出器やカロリメータを統合した新しいミューオン検出ロジックの稼働に成功した。これは、研究を戦略的かつ計画的に進め、徹底的な性能評価を通じて改良を重ねた成果である。また、XCVU13P FPGAを搭載した次世代型ミューオン検出基板の第二試作機の設計を完了させた。これらは当初の計画通りである。
トップクォーク質量測定において、ジェイ・プサイ粒子に起因するミューオンを用いることで、ジェットエネルギー不定性に由来する系統誤差を大幅に抑制することができた。さらに、暗黒物質粒子の探索のために、従来検出できていなかった低い運動量の粒子の検出アルゴリズムを構築できた。この新しい検出アルゴリズムを用い、従来未探索であった粒子質量領域の探索を行う準備が整った。ミューオン異常磁気能率に寄与しうる超対称性粒子の探索手法を構築し検出可能性を示すこともできた。順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく稼働させたミューオン検出ロジックの最大性能達成を目指す。2023年度は十分良い性能が出ることが確認できたミューオン検出器領域の70%ほどで稼働させた。今後は全領域での稼働を狙い導入したミューオン検出システムを完成させる。さらにミューオン検出性能を向上させ蓄積データ量の最大化を目指す。また、将来、25ナノ秒おきに200発生する陽子陽子衝突中のミューオンをリアルタイム検出するシステムを構築するために、XCVU13P FPGAを搭載した電子基板の第二試作機を評価し、基板の最終設計を完了させる。
前年度までに構築したトップクォーク質量測定の手法を実データに対して利用し、ジェットのエネルギー不定性が小さな質量測定の結果を得る。また、開発した低運動量の粒子を検出するアルゴリズムを用いて暗黒物質候補の探索を行う。暗黒物質粒子と付随して放出される数GeVの粒子を識別することで、暗黒物質生成事象の検出を目指す。さらに、ミューオン異常磁気能率に関する超対称性粒子の探索を進めミューオン異常磁気能率の理解を深める。
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