Project Area | Integrated Sciences for Sustainable Human-Aqua Environment |
Project/Area Number |
21H05178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kyushu University (2022-2024) Kyoto University (2021) |
Principal Investigator |
渡部 哲史 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20633845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 香 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40263959)
花崎 直太 国立研究開発法人国立環境研究所, 気候変動適応センター, 室長 (50442710)
田尻 義了 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50457420)
丸谷 靖幸 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50790531)
内海 信幸 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (60594752)
永井 信 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (70452167)
上原 克人 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80223494)
矢野 真一郎 九州大学, 工学研究院, 教授 (80274489)
駒井 克昭 北見工業大学, 工学部, 教授 (90314731)
中下 慎也 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 准教授 (90613034)
白柳 洋俊 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (10756654)
金 炯俊 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (70635218)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥216,840,000 (Direct Cost: ¥166,800,000、Indirect Cost: ¥50,040,000)
Fiscal Year 2024: ¥42,900,000 (Direct Cost: ¥33,000,000、Indirect Cost: ¥9,900,000)
Fiscal Year 2023: ¥39,520,000 (Direct Cost: ¥30,400,000、Indirect Cost: ¥9,120,000)
Fiscal Year 2022: ¥63,700,000 (Direct Cost: ¥49,000,000、Indirect Cost: ¥14,700,000)
Fiscal Year 2021: ¥32,500,000 (Direct Cost: ¥25,000,000、Indirect Cost: ¥7,500,000)
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Keywords | 水文気象 / リモートセンシング / 水・環境物質動態 / 気候変動 / 水文モデル / 水循環 / 水文気象情報 / 水循環モデル / 水文気候情報 / 陸水 |
Outline of Research at the Start |
本計画研究では領域目標である水共生学の創生に向け、水とその周辺環境情報を創出し、これを他研究計画班に提供する。このために、超長期水文気候シミュレーション、水を取り巻く周辺環境の計測、観測および数値モデリングにより過去―現在―未来における水とその周辺環境の変化を明らかにする。また、地球科学分野におけるデータを、生物圏および人間圏における研究に活用しやすい形に変換する情報翻訳のアプローチについて開拓することにも取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究では水共生学の創生に向け、過去―現在―未来における水とその周辺環境の変化を明らかにすることに取り組んでいる。また、地球科学分野におけるデータを、生物圏および人間圏における研究に活用しやすい形に変換する情報翻訳について取り組んでいる。 サブテーマ1では、過去から将来にわたる長期水文気候情報の創出を行い水文現象の解析を行った。長期気候プロキシデータを取得し、それを用いた気候復元手法の開発に着手した。また、東アジア・東南アジア地域において人間社会や生態系に大きな影響を持つ熱帯低気圧の極端降水の分析を行い、20世紀中ごろからの変化が人間活動による温暖化の影響なしには説明できないことを示した。さらに、日本域の長期水文シミュレーションのため、入手可能な過去の日単位の日本域気象データの検討を行うとともに、利根川東遷に関する水文シミュレーションを行った。 サブテーマ2では気象庁による気象観測データおよび気象再解析データを基に1km解像度の気象メッシュデータセットの構築に取り組んだ。またこの気象メッシュデータを基に、気候変動を考慮した将来気象予測データセットを開発した。また衛星観測情報を基に土壌水分量や植生などB03班における人間と水環境やC01班における生物多様性の解析に資する情報を創出した。 サブテーマ3では、流域の活用方法の変化(土地利用土地被覆変化)に基づいて変化すると想定される水・物質循環過程を簡便に推定可能とするため、安定同位体比と分布型流出モデル1K-DHMを組み合わせ、土地利用別の窒素流出率を推定する手法を開発した。また人為的な影響という観点で、共同フィールドに設定されている北部九州に位置する筑後川流域に存在する下筌ダム・松原ダムの操作ルールに基づくダムモデルを構築し、人間圏の水循環に与える影響の操作を陽に表現可能な流域水環境モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ1では気候プロキシを用いた複数の気候再現手法の比較検討や、日本域気象データの利用可能性についての検討が順調に進んでいる。また東アジア・東南アジア域での水文気象現象の分析や利根川東遷のシミュレーション等に関する成果が出始めている。 サブテーマ2では他研究計画班への気象・気候データや衛星観測等に基づく水環境情報の提供に向けた手法構築や検証が予定通り進んでおり、それらの一部について先行的に他計画研究班に提供を行っている。また公募研究班において江戸時代の古文書や高地蔵等の気象や水象と関連するデータの発掘や利用に取り組む研究者と協力し、本計画研究によって作成した現在気象データセットを基に過去気象データを作成するための方法について検討を進めている。 サブテーマ3では流域に住む人々と水の関わりについて分析するための資料収集と分析が進んでいる。市町村史等の地域資料について収集を行い、それらの資料を基に流域における土地利用土地被覆変化や、酪農業や水産業など流域に関連した産業の変化について明らかにするとともに、それらの情報について開発を進めている流域スケールでの水・環境物質動態解析モデルの入力値として利用するための方法について検討を進めている。 計画研究班全体の取り組みとして、本計画研究班から得られたデータや知見を、研究分野の異なる他計画研究班で活用するために、研究領域で定められた共同フィールドを対象として、それぞれの研究分野が必要とする情報とは何かという点や、そのために有益と考えられるデータや分析手法とは何かという点について、計画研究班を超えて議論した。その結果の一部は総説として出版するに至っており、情報翻訳に向けた取り組みや、水共生学の創生に向けた学際研究のための具体的な共同研究が着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ1では、広域の気候情報再構築については、引き続き気候プロキシを用いた復元手法の開発に取り組むとともに、対象地域を現在の海洋大陸から広げて分析を行う。また、水や気象にかかわる極端現象の解析については、東アジアの夏季モンスーンの前線性降雨などの分析を行う。日本域水文シミュレーションについては、利根川東遷のシミュレーションをさらに進める。河道網・運河網データの整備を行うとともに、モデルの水文学的検証を進める。また、舟運や治水(洪水防御)に関する知見が得られないか、考察を進める。 サブテーマ2では、引き続き気象・水象に関するデータセットの作成と他計画研究班への提供、さらにその際に必要となる翻訳について取り組む。特に本年度検討を進めた過去を対象としたデータの活用に注力する。加えて、これまでの他計画研究との連携から明らかとなった、共同フィールドを中心に水環境や生物多様性について分析を進めるために不足している情報を独自に観測して収集することにも取り組む。 サブテーマ3では、収集したデータを基に過去における出水規模、将来における気候変化の影響について流域を対象とした水・物質動態モデルに反映させることに取り組む。また、このモデル実験結果を基に、他研究計画班と議論を進めることで地球圏,人間圏,生物圏にとって健全な流域圏とは何かについて指標化することに取り組む。 計画研究班全体では、研究の後半に向け共同フィールドを中心に研究計画班を超えた共同研究の実施を更に進めていく。具体的には、1)北部九州等において農業用ため池に関して防災、産業、環境、生物等の多角的な分析、2)釧路等において中心として気候変動緩和と適応が地域の水循環に及ぼす影響の分析、3)石垣島等において農業や産業の変化が地域の水環境や生態系に及ぼす影響の分析について、水共生学の創生に資する水循環情報の創出や翻訳に取り組む。
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