Project Area | Integrated Sciences for Sustainable Human-Aqua Environment |
Project/Area Number |
21H05181
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒谷 邦雄 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (10263138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百村 帝彦 九州大学, 熱帯農学研究センター, 教授 (80360783)
細谷 忠嗣 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90467944)
楠見 淳子 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20510522)
土屋 慶丞 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (10872806)
舘 卓司 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20420599)
佐藤 廉也 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (20293938)
三田 敏治 九州大学, 農学研究院, 助教 (90581851)
松尾 和典 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (90741281)
米元 史織 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (40757605)
加藤 ゆき恵 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (30609102)
苅部 治紀 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (50261194)
富永 篤 琉球大学, 教育学部, 教授 (60452968)
鬼倉 徳雄 九州大学, 農学研究院, 教授 (50403936)
栗田 喜久 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40725058)
鹿野 雄一 一般社団法人九州オープンユニバーシティ, 研究部, 研究員 (60467876)
林 博徳 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00599649)
鈴木 伸二 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (10423013)
野本 和宏 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (10599179)
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
乾 隆帝 福岡工業大学, 社会環境学部, 教授 (20723844)
貞國 利夫 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (20872849)
片山 昇 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (30646857)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥182,260,000 (Direct Cost: ¥140,200,000、Indirect Cost: ¥42,060,000)
Fiscal Year 2024: ¥21,580,000 (Direct Cost: ¥16,600,000、Indirect Cost: ¥4,980,000)
Fiscal Year 2023: ¥23,270,000 (Direct Cost: ¥17,900,000、Indirect Cost: ¥5,370,000)
Fiscal Year 2022: ¥20,410,000 (Direct Cost: ¥15,700,000、Indirect Cost: ¥4,710,000)
Fiscal Year 2021: ¥100,230,000 (Direct Cost: ¥77,100,000、Indirect Cost: ¥23,130,000)
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Keywords | 流域圏生態系 / 森林生態系 / 農地生態系 / 河川・浅海生態系 / 共生 / 生物圏 / 河川生態系 / 浅海生態系 / 生物多様性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、水循環システムの「ゆらぎ」に作用する三つの圏域のうち、地球圏と人間圏をつなぐ生物圏の実態として「流域圏生態系」に焦点を当てる。流域圏生態系を構成する主要な生態系である森林生態系、農地生態系、河川~浅海生態系を対象に、環境特性と生物多様性の実態や、生物-環境および生物-生物の相互関係の解明を通して、流域圏生態系のネットワークを可視化する。さらに流域圏生態系が持つ本来の多元的な機能とレジリエンスを評価する事で、地域の実態に即した水環境の社会的課題解決のシナリオと新たな「地域循環共生型流域圏」実現のための将来ビジョンを提案し「ヒトと自然との共生」の道を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主な研究成果は以下のとおりである。CTスキャンの活用では、ハリス線に基づいて出土人骨の栄養・健康状態に関して検討した。海外共同フィールドのベトナム調査では、カブトバチ属の16種もの新種を発見し、本属の生活史を初めて明らかにした。また、嘉定城通志に記載されたエビ・カニ類を同定した。ラオスでは、食料市場で販売される昆虫の季節的・地理的変動や中部における焼畑民の文化人類学的研究をまとめた。 国内の共同フィールドのうち道東地域では、昆虫に関して、アリ類相や歩行性甲虫類相への森林管理の影響、急激な温暖化の進行が昆虫に与える影響を、植物では泥炭地帯や湿原、釧路市春採公園の植生などをまとめた。北部九州周辺では、豪雨の影響による絶滅を防ぐため希少魚種セボシタビラの保全策として人工授精で増やした個体を試験放流した。木柵護岸を伴う農業水路の多面的機能として、淡水魚の保全効果を評価した。環境DNAを使った河川の動植物の季節変動を解析し河川環境健全度評価法も提唱した。北部九州地域の膜翅目昆虫相や分布の新記録をまとめた。奄美・琉球地域では、沖縄島北部のやんばる地域から形態と分子双方の検討結果に基づいてヤンバルオオイチモンジシマゲンゴロウを新種記載し、同属の日本産3種の分類学的再検討を実施した。やんばるで森林性絶滅危惧種の域内保全も実施した。宮古諸島の生物相の成立に深く関わる沖縄島と宮古島に挟まれた陸域の地質学的歴史と、これらの島および隣接する島の陸上生物についての系統地理学的意義をまとめた。特定外来生物のシロアゴガエルの食性を解析した。 このほか、世界規模での両生類の危機的な状況についてまとめた論文がNatureに掲載されるなど70編以上の査読付国際誌への成果公表があった。他の計画研究班との共同研究の成果として琉球諸島やメコン流域の水循環と生物多様性に関する総説を流域圏学会誌で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目の2023年度になって、ようやくCTスキャンの積極的活用や、海外の共同フィールドであるメコン流域の現地調査が実現でき、関連する多数の成果が上がった。特にCTの積極的活用を加速するために、CTスキャンを活用した農地生態系とヒトとの関わりの歴史に関する研究を展開するために考古人類学の専門家を新たに分担者に迎え、成果を上げることができた点は特筆できる。また、海外の共同フィールド調査ではベトナムから多数の新種の昆虫類を発見し、この地域の生物多様性の解明に大きく貢献できた。カンボジアに関しては、トンレサップ湖周辺での予備調査を実施し、次年度の本格調査に向けた準備をした。共同フィールドを中心とする国内各地の調査研究も多くの成果が上がった。 社会実装の面では、奄美・琉球地域で、国内希少種を含む樹洞性大型甲虫類の域内保全策として、樹洞の補修や再生作業を実施した。また、同地域の絶滅危惧水生昆虫類に関しては、新規水域の創出、外来水草や外来魚の駆除などの域内保全を実施する一方で、試験的な域外保全個体の再導入も行なった。こうした保全対象種を題材にした地元住民向けの観察会や講習会もの各地で開催した。石垣島の名蔵湾の浅海底調査でサンゴ生息地を発見したことが同地域の国立公園特別地域への編入にも繋がった。共同フィールドである北海道釧路市や沖縄県石垣市でシンポジウムを開催し、研究成果を一般市民に向けて発表した。 流域圏学会誌への総説の掲載以外にも他の計画研究との共同を進めた。A01班とは、北海道と沖縄において、近年の急激な温暖化の進行が湿原環境や水生昆虫類に与える影響に関する調査研究を開始した。B03班とは、共催でオックスフォード大学の研究者を招聘してマラリアに関するワークショップを開催し、終了後は八重山群島への巡検も実施した。 以上のような研究、社会実装両面の成果からおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は CTスキャンのさらなる活用と、共通フィールドであるメコン川流域での調査(タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなど)を本格的に実施する。B03班のフィールドであるアフリカでの調査も視野に入れる。年度のなるべく早い時期に現地研究機関との調整を進め、他の計画研究班と協働する比較的規模の大きな合同巡検から、計画研究内で研究対象分類群や地域、方法論に応じて編成する比較的少人数の調査チームによる調査まで臨機応変な対応をとる。国内では共同フィールドを中心に各自の研究を展開、発展させる。 また、残り2年間の後半フェーズに移行したことを意識し、成果公表に向けたとりまとめに加えて、「流域圏生態系におけるヒトと自然の共生」という将来のビジョンを実現するために、流域圏生態系における水循環システムの多元的な機能を活かし、地域の実態に即して、保全・修復し持続的に利用するための最適なシナリオの策定・選定を試みる。
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