Project Area | Understanding multicellular autonomy by competitive cell-cell communications |
Project/Area Number |
21H05287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石谷 太 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40448428)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥127,790,000 (Direct Cost: ¥98,300,000、Indirect Cost: ¥29,490,000)
Fiscal Year 2024: ¥24,310,000 (Direct Cost: ¥18,700,000、Indirect Cost: ¥5,610,000)
Fiscal Year 2023: ¥24,440,000 (Direct Cost: ¥18,800,000、Indirect Cost: ¥5,640,000)
Fiscal Year 2022: ¥24,310,000 (Direct Cost: ¥18,700,000、Indirect Cost: ¥5,610,000)
Fiscal Year 2021: ¥30,160,000 (Direct Cost: ¥23,200,000、Indirect Cost: ¥6,960,000)
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Keywords | モルフォゲン勾配 / 自律性 / 細胞間コミュニケーション |
Outline of Research at the Start |
モルフォゲン勾配は、組織を構成する各細胞に連続した位置情報を与え、場に適合した運命を誘導する多細胞生命システムである。申請者の石谷は最近、ゼブラフィッシュイメージング解析により、正常な胚発生過程においてモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が細胞競合によって排除され、勾配が自律的に修復されることを見いだした。そこで本研究では、細胞競合がモルフォゲン勾配システムに自律性をもたらす物理化学的基盤を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
モルフォゲン勾配は、組織を構成する各細胞に連続した位置情報を与え、場に適合した運命を誘導する多細胞生命システムである。申請者の石谷は最近、ゼブラフィッシュイメージング解析により、正常な胚発生過程においてモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が頻繁に自然発生することと、勾配を乱す異常細胞が細胞競合によって排除され、勾配が自律的に修復されることを見いだした。すなわち、細胞競合がモルフォゲン勾配システムの自律性を支えることを発見した。そこで本研究では、細胞競合がモルフォゲン勾配システムに自律性をもたらす物理化学的基盤の解明を目指している。 まず、Wntモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が隣接細胞によって感知されるメカニズムを解析し、異常細胞ではカドヘリンの量が変化することで隣接細胞との細胞間張力が変化し、この局所的な細胞間張力変化によって異常細胞が感知され、細胞競合が起動することを見出した(投稿準備中)。また、初期胚におけるWntモルフォゲン勾配のみならず脊髄・筋肉原基におけるShhモルフォゲン勾配の自己修復にも細胞競合が関わることを見出した(投稿準備中)。さらに、細胞競合における異常細胞と隣接細胞の空間トランスクリプトーム解析を行う系を独自構築した。加えて、前がん細胞の細胞競合による排除のメカニズムの解析も行い、隣接細胞による前がん細胞の細胞老化や、細胞外ATP、隣接細胞のカルシウムイオンなどが前がん細胞の排除に関わることを見出した(Haraoka et al., Nature Commun 2022; Mori et al., Curr Biol 2022; Kuromiya et al., Cell Rep 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が隣接細胞によって感知される物理化学基盤の一端を解明し、脊髄・筋肉原基におけるShhモルフォゲン勾配の自己修復にも細胞競合が関わることを見出した。また、隣接細胞による前がん細胞の細胞老化誘導など、新たな細胞競合機構を見出した(Haraoka et al., Nature Commun 2022; Mori et al., Curr Biol 2022; Kuromiya et al., Cell Rep 2022)。このように、当初の予測を超える発見をなすことができた。しかし、細胞競合における異常細胞と隣接細胞の空間トランスクリプトーム解析の構築に想定以上の時間を要してしまったことを考慮し、総じておおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した空間トランスクリプトーム技術を駆使して、Wntモルフォゲン勾配・Shhモルフォゲン勾配の細胞競合を介した自己修復機構の全貌解明を目指す。また、多様な細胞競合現象において共通して出現する「細胞競合マーカー」を同定し、抽出したマーカーが他の生物種や他の多細胞システムでも普遍的に機能するかを解析する。さらに、細胞競合マーカーの発現動態を可視化したゼブラフィッシュ系統を作製し、受精から成体が構築され維持される全過程における細胞競合動態を解析する。また、これらの解析で見いだした細胞競合起動に関わる仕組みを、人工モルフォゲン系に組み込むことで、自立性を持ったモルフォゲン系を再構成する。
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