Budget Amount *help |
¥127,790,000 (Direct Cost: ¥98,300,000、Indirect Cost: ¥29,490,000)
Fiscal Year 2025: ¥24,570,000 (Direct Cost: ¥18,900,000、Indirect Cost: ¥5,670,000)
Fiscal Year 2024: ¥24,310,000 (Direct Cost: ¥18,700,000、Indirect Cost: ¥5,610,000)
Fiscal Year 2023: ¥24,440,000 (Direct Cost: ¥18,800,000、Indirect Cost: ¥5,640,000)
Fiscal Year 2022: ¥24,310,000 (Direct Cost: ¥18,700,000、Indirect Cost: ¥5,610,000)
Fiscal Year 2021: ¥30,160,000 (Direct Cost: ¥23,200,000、Indirect Cost: ¥6,960,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
モルフォゲン勾配は、組織を構成する各細胞に連続した位置情報を与え、場に適合した運命を誘導する多細胞生命システムである。申請者の石谷は最近、ゼブラフィッシュイメージング解析により、正常な胚発生過程においてモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が頻繁に自然発生することと、勾配を乱す異常細胞が細胞競合によって排除され、勾配が自律的に修復されることを見いだした。すなわち、細胞競合がモルフォゲン勾配システムの自律性を支えることを発見した。そこで本研究では、細胞競合がモルフォゲン勾配システムに自律性をもたらす物理化学的基盤の解明を目指している。 まず、Wntモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が隣接細胞によって感知されるメカニズムを解析し、異常細胞ではカドヘリンの量が変化することで隣接細胞との細胞間張力が変化し、この局所的な細胞間張力変化によって異常細胞が感知され、細胞競合が起動することを見出した(投稿中)。また、初期胚におけるWntモルフォゲン勾配のみならず脊髄・筋肉原基におけるShhモルフォゲン勾配の自己修復にも細胞競合が関わることを見出した(投稿中)。さらに、細胞競合における異常細胞と隣接細胞の空間トランスクリプトーム解析を行う系を独自構築した。加えて、前がん細胞の細胞競合による排除のメカニズムの解析も行い、隣接細胞による前がん細胞の細胞老化や、細胞外ATP、隣接細胞のカルシウムイオンなどが前がん細胞の排除に関わることを見出した(Haraoka et al., Nature Commun 2022; Mori et al., Curr Biol 2022; Kuromiya et al., Cell Rep 2022)。また、本研究を推進するために小型魚類のゲノム編集を高速かつ正確に行う技術を確立した(Oginuma et al., Sci Rep 2022など)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntモルフォゲン勾配を乱す異常細胞が隣接細胞によって感知される物理化学基盤の一端を解明し、脊髄・筋肉原基におけるShhモルフォゲン勾配の自己修復にも細胞競合が関わることを見出した。また、隣接細胞による前がん細胞の細胞老化誘導など、新たな細胞競合機構を見出した(Haraoka et al., Nature Commun 2022; Mori et al., Curr Biol 2022; Kuromiya et al., Cell Rep 2022)。また、本研究を推進するために小型魚類の新たなゲノム編集技術を確立した(Oginuma et al., Sci Rep 2022; Suzuki et al., Hum Mol Genet)。このように、当初の予測を超える発見をなすことができた。しかし、細胞競合における異常細胞と隣接細胞の空間トランスクリプトーム解析の構築に想定以上の時間を要してしまったことを考慮し、総じておおむね順調と判断した。
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