Systematic Analysis of Dynamics inside Ant-Colonies through Long-Term Measurement with Individual Identification
Project Area | Hierarchical Bio-Navigation Integrating Cyber-Physical Space |
Project/Area Number |
21H05297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (IV)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西森 拓 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任教授 (50237749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 允梓 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任准教授 (20632144)
古藤 日子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80583997)
山中 治 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員 (20868484)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥102,570,000 (Direct Cost: ¥78,900,000、Indirect Cost: ¥23,670,000)
Fiscal Year 2024: ¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥19,370,000 (Direct Cost: ¥14,900,000、Indirect Cost: ¥4,470,000)
Fiscal Year 2022: ¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2021: ¥29,120,000 (Direct Cost: ¥22,400,000、Indirect Cost: ¥6,720,000)
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Keywords | 社会性昆虫 / 自律性 / 自己組織化 / 数理モデリング / データ解析 / アリコロニー / 全個体自動計測 / ナビゲーション / 数理モデル / test / 行動実験 / 自動計測 |
Outline of Research at the Start |
アリは、特定のリーダーがいないにも関わらず、高度な分業行動、協調行動を通して高い生産性を維持し数千万年にわたって繁栄してきた。本研究では、世界最小レベルのRFIDタグを利用してコロニー内の全てのアリの行動を個体識別し自動計測するシステムを導入する。これによって、従来の国内外の研究と比較して圧倒的な質と量の「行動ビッグデータ」を収集・解析し、集団における労働分配・労働再編のダイナミクスを捉え、アリにとどまらない組織動態の新しい概念形成を目指す。とくに個体数急減や要避難状況などの「介入」に柔軟に対応する「労働補償性」や「労働協働性」をシームレスCPSの手法を活用した介入実験をとおして検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまで構築してきたRFIDタグによる個体識別行動計測システムを拡張することで、新たな行動データを取得可能とした。また、従来の数理モデルを改変することで、多角的にアリの社会行動を捉え組織的行動の一般論構築の端緒とした。とくに、行動計測手法の整備(項目A)、および、組織行動発現の数理モデリング(項目B)について以下のような成果を得た。 項目Aでは、従前の行動計測システムに次の改良を施した。(A―i)微小RFIDのついたアリの通過を検知するためのセンサーゲートの設計指針を見直し、従来より高い精度で通過を検知し、かつ長時間安定して稼働する測定システムが完成した。また、(A-ii)従来、「単独の部屋の人工巣+採餌アリーナ+両者を結ぶセンサーゲート」から構成されていた採餌行動計測系について、人工巣を分割・多層化することで、場所依存の役割分化の様態を系統的に計測することを可能とした。項目Bでは、アリのコロニー内での自発的な役割分化発生の基本モデルと考えられている反応閾値モデルついて、次の2種の考察を行なった。まず、(B-i)反応閾値モデルの計算において大きな障壁となってきた反応閾値分布の直接計測困難性の問題を克服するために、今回、計測データ(アリの活動分布)と反応閾値モデルの数理的解析から反応閾値分布を推定する手法を提唱した。また、(B-ii)反応閾値モデルに関して、個体間の情報の交換の様態を、従来型の大域結合から、スケールフリー、スモールワールド、2D格子などの結合に拡張することで、個体間の労働分配の様態が変化することを示した。 上記の2項目に加え、トビイロアリの帰巣経路選択において、優先的に依拠する環境情報が、餌(糖分)の摂取の有無によって、化学情報(道標フェロモン)から視覚情報に切り替わることを行動実験とデータ解析の組み合わせによって明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍と半導体不足の影響により、観測システムの開発に必要な機材の購入が当初の予定(2021年度内)よりも大幅に遅れてしまったが、予算繰越がなされた2022年度には、予定に近い段階にまで開発を進めた。とくに、微小RFIDを利用した行動計測については、センサーゲートの作成方法を精密化し計測精度の向上、およびゲートの不均一性によるゲート毎の計測のゆらぎを克服することができた。また、社会性昆虫の役割分化の基本モデルとされる反応閾値モデルの解析と(本グループによる)採餌行動の計測結果を組み合わせて、コロニー内のアリの反応閾値分布の推定を行なった。反応閾値分布は直接計測が困難であり今回提案された推定手法は、社会性昆虫の集団行動の理解の枠組みを拡げるものである。さらに、反応閾値モデルを拡張し、個体間の相互作用ネットワークの特徴と情報共有の様態を考察した。これらの結果の一部は、国際会議や専門雑誌で発表され、他の事項についても、結果を整理し外部に公表していく予定である。さらに、同じ学術変革領域(A)に属する他の研究グループとの共同で、アリの集団餌運搬行動への介入実験を開始し、運搬の負荷に依存した行動変容を観測する体制が整った。
以上を鑑み、研究計画はおおむね順調に進展しているものとした。
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Strategy for Future Research Activity |
主に、以下の三項目を重点的に進めていく。1.コロニー内のアリの行動に関して、個体識別した上で長時間にわたって自動計測をする計測系のさらなる充実を図る。2.自動計測によって得られた大量のデータを解析し、アリの役割分化の基本機構を明らかする。3.数理モデルを構成し、実データと比較することで、アリ社会やさらに広範囲の社会における自律的な組織維持の機構を明らかにする。
1に関しては、微小RFIDを運用した計測システムのさらなる改良に加えて、2次元バーコードによる行動計測システムの構築を図る。この行動計測システムの開発には一般産業用カメラをアリを計測するためのシステムに最適化する必要がある。画像情報を得るプロセスは、導入したカメラによるAPIを用いて順調に進みつつあるが、引き続き、アリの行動計測として十分な観測頻度や画質、得られたデータの処理方法など最適化し、さらに長時間の計測をするための検証を進めていく。2,3に関しては、我々自身が得てきた(もしくは今後得る)行動データを参照しつつ、より高度な役割分化の機構を説明するための数理モデリングを進めるとともに、(人間も含めた)より広範囲な社会集団の組織ダイナミクスに関する数理モデルの構築も進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)